待宵に夢 公演情報 鵺の宴「待宵に夢」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    夢想(無意識)の中で朧気に立ち上がる物語、それを現実の恋愛とリンクさせた独特の世界観。主人公 白輪地柚月(井関友香サン)は、幼い頃から何度も同じ夢を見る、が 目覚めれば曖昧なだけで他人に話しても分かってもらえない もどかしさ。しかし 何故か気になってしょうがない。非現実(夢幻)に悩まされ、現実の恋愛に支障をきたすことを恐れている。そんな彼女を悪態をつきながらも優しく見守る幼馴染の須田浩成(村田直樹サン)。彼の純情が少し切ない。

    一方、柚月を取り巻く人々の心配を通して淡い恋模様をも描いている。舞台美術によって夢想と現実といった異なった世界観を分かり易く観せる。少しネタバレするが、夢想の世界は着物を着た時代劇、それを俯瞰するように眺める現代 といった見た目でも区別できる。
    物語は夢に込められた人の想い、朧=淡いといった比喩であろうか。
    (上演時間2時間 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は上手 1階部はスナック(カウンター、酒棚、行灯・座卓)、2階部は柚月とその彼 押切春親(松田幸樹サン)が同棲している部屋(ドアとソファ)、下手は暗幕で半囲いし 奥に月がかかる。上手が主に現代、下手の素舞台が夢の中で表れる時代劇。

    着物に大刀…一目瞭然の時代物だが、すぐに夢の中の出来事だと知れる。未来が予知できる 夢見の巫女(白須慶子サン)を巡っての殺傷シーン。そこに現れるのは旧知の間柄…仲間だったようだが 夢見の巫女の<力>を利用すべく争いになった。そんな惨い夢を見続ける柚月の苦悩。誰にも相談できず思い悩んでいる。特に付き合っている春親は非現実的なことは嫌い(否定的)で、寝不足の理由を話せない。

    行きつけのスナックのママ桜田真理子(和田真理子サン)や常連客が親身になってくれるが…。観所である夢想と現実の関りというか 繋がりがはっきりしないのが憾み。本筋は現代…同棲している柚月、彼女のことが好きな浩成、その彼を応援している人々の心情を紡いでいく。同棲している春親は隙のない完璧主義者のような描き方。付き合った女性は、本音で話すことが躊躇われ離れていく。そこに彼の苦悩をみる。

    人には言えない悩みがある、それを素直に言える人がいるかどうか。本音と建前、近過ぎる存在(幼馴染)だからこそ、その良さが分からない。照れもあり真意が伝えられない もどかしさ。分からない面を写し(描き)出す、その意味では現代(本筋)と時代(脇筋)は合わせ鏡のようだ。そこに照れ隠し=ぼんやりとした夢を重ねて恋愛劇にしているかのようだ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/12/03 13:16

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