メタ・バースデイ 公演情報 劇団娯楽天国「メタ・バースデイ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     華4つ☆

    ネタバレBOX

     劇団娯楽天国創立35周年記念公演である。舞台美術が凄い。和室を象ってあるが、レイアウト、壁を這う木材の形と柱などを挟んで横や斜め上に拵えた部分に延びる同じ材を用いた連続性のある造作デザインは、恰も壁を部屋全体の色調を引き締める化粧であるかのような落ち着いた渋い極上のセンスを感じさせる体のものである。格子窓がそのような壁面に座りの良い形で配置され更なる風情を醸し出している。日本家屋の建築美を見事に表すと同時に出捌け等の配置も合理的で見事という他ない。
     主人公は元高校の先生。生真面目を絵に描いたような教師であったが2年前に職を退き現在は仏頂面を下げて一日中家にいる。そして道徳の授業のような態度で4人の子供たちに接して来たため子供たちは各々、少し特殊である。然も妻とも手作りの料理を顔突き合わせて食べながらずっと口も利かずに仏頂面を下げて居た為、妻は実家に戻ってしまった。大学時代はミュージカル部に所属し、部員は皆互いを西洋人の名で呼び、明るく元気で陽気な学生生活を送っており、妻はミュージカル部のマドンナで総ての男性部員の憧れの的であったというのに。現在、長女が身近であるが彼女の夫は失職中。そんなこともあり長女は生活に対して極めて現実的であり、シビアだ。まあ、孫も生んでくれて育児中でもあるから当然といえば当然なのだが。父に対する風当たりには厳しいものがある。長男は父の「高校だけは出ておけ」との忠告に逆らい中卒で社会に出たが学歴社会の世の中思うように行くはずもなく、道を少し踏み外し何年も前に家を飛び出して寄り付かない。次女は大学進学したものの直ぐに辞め、現在は訳の分からない運動体に入って講釈を垂れるようになっており、その教団の施設内で共同生活をしており普段は一切実家に出入りしていなかった。次男はニート。一日中部屋に引き籠りお早う、お休みの挨拶すら漫録にしない。つまり家族は殆ど崩壊している。そんな中、生前葬を計画した父と別居中の母、4人の子供たちとミュージカル部の仲間、生前葬の弔問客、長男に恋し彼女に嫉妬してジャックナイフで殺害しようとする男、葬儀屋らが繰り出す悲喜交々を母が戻って来てくれたシーンで、父と和解し家族が再結成され徐々に正常を取り戻してゆく様が描かれるも警察から入った1本の電話が実相を明かす。とその実相に出会った父は心筋梗塞で心肺停止。この事態に沿って描かれる最終部の父と母の穏やかで和やかなシーンは深い哀感を伴い乍ら、父の再生シーンへ繋がる。この時に舞台美術の素晴らしさが改めて際立つ中主役・父、脇役・母が天界へ至る道中の雲の中の階段のような場所で交わす言葉及び演技が見事。赤い2つの風船の使い方も良いアクセントになっており、照明の素晴らしさに驚嘆し音響が見事にマッチしている点にも感嘆させられた。丁寧にまた品のある役作りをしている母役。場面、場面の変化に上手い役作りで過不足なく応じる父役、元演劇部部員で15歳になる娘の父が、生前葬の主役たる元演劇部顧問だと言い出し騒動を引き起こす矢張り品を感じさせるシングルマザー役の教え子らを配したキャスティングもグー。然も15歳の少女に「実の父は何処かの刑務所に服役中」と言わせてちゃんとオチも付けている。全体としては小市民化した現代日本のトレンドを上手く反映した作品だ。尺は約2時間半。

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    2023/11/19 11:54

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  • 沢井エリカさま
    コメント有難うございます。
    ハンダラです、返信が遅くなり申し訳ありません。
    超がつくほどバタバタしていてコリッチも久しぶりに
    訪れました、寒さも本格化してきました。お体大切に
    過ごされつつ、内面を更に磨いて下さい。自分もソロソロ
    これ迄積み重ねてきたことを纏めようかと思っています。
                          机下

    2023/11/30 11:36

    劇団娯楽天国の沢井です。
    この度はご来場誠にありがとうございました!!
    セットも作品も深くご観劇いただきありがとうございます!!
    とても嬉しいです。
    今後もお楽しみいただけるよう一同精進いたします。
    ぜひ次回もお越しくださいませ!
    本当にありがとうございました!!

    2023/11/26 23:06

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