実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
フィクションとノンフィクション、その虚実綯交ぜの世界観ゆえ 生々しさと物語として観せるといった絶妙な公演。物語は事実として事件の概要を淡々と描き、一方 人物の心情は演劇という虚構の中で生き生きと描いており、本当に事件当事者の心持か というような錯覚に陥る。
公演の見どころは、事件の成り行き、特に被疑者と法医学者との息詰まる対峙、そこには被疑者の化学(知識)に対する自尊心が透けてくる。何といってもトリカブトを使用した毒殺という題材の奇抜さに興味が惹かれた。どのような方法で、といった謎解きと被疑者の心の奥底に蠢くプライドが見事にリンクしてくる。
タイトルはトリカブトの花言葉の一つ、その薄紫色をした花の美しさをラストの照明で表すが…。見た目の美しさ、翻って人の善意も優しさにも<毒>が含まれているかも、そんな怖さを感じさせる秀作。主人公の上谷豊 役の是近敦之さんの渾身の力と生々しい感情表現が舞台を支えている。
(上演時間2時間 途中休憩なし) 追記予定