エゴ・サーチ【Mura.画】 公演情報 Mura.画「エゴ・サーチ【Mura.画】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    バラバラに展開する物語は、ジグソーパズルのピースを組み立てていくような楽しみ、そしてラストに向かって怒涛のように収斂していく。ミステリー サスペンスの謎解きをするような面白さ。それがエゴ・サーチすることによって、自分であって自分ではないという影のような存在を知り 向き合う。そして 主人公 一色健治は、切なくも衝撃的な事実へ辿り着く。現世と来世、現在と過去、そして場所を自在に変化させるため、考えながら観ていると思考が追い付かないかもしれない。

    知っているつもりの自分自身、それを ひとたび意識(検索)してみると思いも寄らなかった影の自分が現れる。謎めいた展開へグイグイ惹き込まれる。が、付かず離れずの存在ーー骨なしチキンが今一つ物語(主人公)に絡んでいないような…。今では社会生活に欠かせなくなったインターネット、その功罪として関連付けているのであろうか。何となく コミックリリーフとして表層的な可笑しさを担っただけの印象が強く 勿体ない。
    (上演時間2時間 途中休憩なし) 【βチーム】

    ネタバレBOX

    舞台美術は、上手が階段状、下手に別スペースを設えたシンプルなもの。物語が展開していくと、それが時間と場所を表していることが分かる。冒頭、小田切美保(池内菜々美サン)が沖縄 離島の小学校で体育の授業(野球)に加わっているところから始まる。なぜ彼女が沖縄にいるのかが物語を動かす切っ掛けになっている。が、同時にその地でキジムナー(村上悠太サン)に出会ったことで彼女の人生は動かなくなる。

    エゴ・サーチ…説明では「自分の名前でインターネットで検索すること」とあるが、真の自分が誰なのか知らなければ意味がない。物語は、主人公の新人小説家 一色健治(関根翔太サン)が新たな小説が書けなく苦悩し、彼を励ます編集者といった普通の光景。
    一方、IT会社(田中実と桐谷舞)へ、<骨なしチキン>という流しの歌い手が 自分を売り出してほしいと依頼に来る。そしてIT戦略を…といった繋がりを見せる。
    健治が自分をエゴ・サーチしたことから、同姓同名の人物が自分に成り代わって といった事を見つける。
    この2つの話が交錯し、健治の前職と美保との関係、そして健治に近づく謎の男 広瀬隆生(藤代海サン)の正体が明らかになる。

    物語の肝は、インターネットという功罪を描くと同時に人と人の繋がりと想いを綴る。健治・美保、そして隆生はIT会社の同僚で、それぞれに好意というか愛を育んでいた。そして或る時、事故が…。健治は記憶喪失、美保はギジムナーに会って ということから容易に想像がつく。現世と来世、現在と過去というバラバラのピースが合わさった時の衝撃、そして感動が生まれる。
    また、インターネット(エゴ・サーチ)を利用して、自分を取り戻し、一方 IT会社の舞はリベンジポルノに苦しめられ といった功罪を浮き彫りにする。

    階段の上り下り、客席通路を使用した演出は躍動感が生まれ、テンポ良く観せる。歌やダンスといった飽きさせない演出にも好感がもてる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/11/03 06:20

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