MARIONNETTE(東京公演) 公演情報 劇団The Timeless Letter「MARIONNETTE(東京公演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/10/01 (日) 12:00

    ダブルキャストのteam FAKEを観劇。

    関西の劇団で、4年ぶりの池袋演劇祭参加だという。関西の劇団で池袋演劇祭といえば、2014年に池袋演劇祭初参加にして大賞を獲得した京都の劇団ショウダウンを思い出さずにはいられない。それもシアター風姿花伝という不利な立地の劇場での2時間に及ぶ一人芝居でだった。

    The Timeless Letterという劇団は初見だが、シアターグリーンのBIG TREE THEATERでの公演というのにまず驚かされた。かなりの集客力がなければ赤字必至となるであろうからだ。この回は観客に指定されていたのはセンターブロックのみで、上手側と下手側の両サイドは使われていなかった。となると、6割程度の入りか。

    (以下、ネタバレBOXにて…)

    ネタバレBOX

    劇場に入ってまずそのセットの見事さにしばし見とれた。当日パンフの図解によれば正面の十字架と円形のステンドグラスはロザリー教会、上手はスコットランドヤード殺人捜査課の部屋、下手はローガン製薬の社長室だという。20世紀初頭という時代がかった雰囲気も良く出ている。
    これらのセットについては3人の女優による前説でもギャグを交えながら説明が行なわれる。
    ただ気になったのはローガン製薬社長室のデスクの上に蛍光灯スタンドのような形の卓上照明器具が置かれていたこと。20世紀初頭だとまだ白熱球の時代であり、デザイン的にああいう形のものはないはず。
    時代的におかしいといえば、葉巻を吸う場面も同様。ジッポー型のライターで着火しているが、このタイプのポケットライターは米国のロンソンが1927年に、同じく米国のジッポーが1933年に発売したものがその始まりであり、20世紀初頭にはまだ生まれていないのだ。

    序盤で黒いドレスの5人の女によるダンスがあり、それが終わると舞台中央に赤いドレスの女が倒れており、その傍に2本の薔薇が置かれている、という場面が秀逸だ。そして第二、第三の殺人が行なわれ、薔薇の本数も7本、13本と増えていく。物語はテンポよく進み、舞台への集中を途切れさせない。照明と音響がさらにその効果を強めている。

    伏線も見事に回収され、かつ「悪魔のくちづけ」というサブタイトルもきちんと活かされている。

    2時間ちょうどで終演となり、カーテンコール。事前に上演時間は2時間10分と説明されていたのだが…と思っていると、カーテンコールの最後に中央奥からハケようとした新人巡査のハンナが(千穐楽のカーテンコールということで直前まで涙を流していたのだが)十字架のところで立ち止まり、いきなり笑い出す。そして明かされる驚愕の秘密…これが更なる伏線の回収となっており、それが終わったのは開演から2時間10分後、思わずは~っという感嘆の溜息が出た。
    役者陣の演技も含め(殊にハンナ役の愛恵―“まなえ”と読むらしい―が印象的)、素晴らしい舞台だった。

    が、いまひとつ残念だったのはロープにダニエルの指紋が付いていたという個所。スコットランドヤードでも1901年から指紋が犯罪捜査に用いられるようになってはいたが、21世紀の現在でも布地から指紋を採取することはほとんど不可能なのだ。ましてやロープからなど…。

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    2023/10/27 00:23

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