荒野の三猿 公演情報 劇団 EASTONES「荒野の三猿」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    オープニングとテーマ曲でつかみはバッチリ
    ストーリーは単純明快。
    ちょっとカッコつけたりしても、笑いもまぶしてある時代劇エンターテイメント

    ネタバレBOX

    マカロニウエスタンというのは、イタリア製の西部劇のことだ。
    マカロニウエスタンが、人気が出たのは、クリント・イーストウッド主演の『荒野の用心棒』からではないだろうか。
    この映画は黒澤明監督の『用心棒』の設定を西部劇に持ち込んだものであり、今回の舞台は、マカロニ時代劇ということなので、逆輸入の感がある、と思って観た。

    三猿の印象的な登場とともに、昭和歌謡的で、どことなくマカロニ風味のテーマ曲が流れる。
    これが、いい感じ(できれば、この雰囲気で一気に行ってほしかったのだが)。

    要所要所で流れる効果音楽も、いかにもマカロニ風味。

    主人公の三猿は、自分たちの身体を不自由にし、親と慕っていた人を殺されたことへの復讐劇。
    これもマカロニテイスト。

    そして、汚れのきつい三猿の衣装もマカロニ風味。

    これだけの要素が揃っているのだが、もうひとつテンポが良くないところがあった。つまり、停滞してしまう個所があるように感じてしまったのだ。

    もちろん、すべてテンポ良く進めばいいということではないのだが、じっくりと見せるところと、テンポ良く見せるところの切り分けがもっと鮮やかだったら言うことはなかったのに、と思う。

    殺陣は、上手い下手が、どうしても出てしまう。もちろん、あまり広い舞台ではないので、あの舞台をあれだけ動いて、殺陣をするということが大変だというのはよくわかるのだが。

    三猿を演じた、石田さん、富永さん、あもさんの3人の殺陣はさすがだと思った。それぞれ趣向の違う刀を持って、それを一番カッコ良く見せる殺陣が見事だった。

    また、おえんを演じた吉浜さんの身のこなしがいい。ダンスも含め、身体にキレがあるのだ。宿屋の女将を演じた堂免一るこさんの堂に入った女将が、いい間合いで入ってくるので、舞台が締まったように思えた。

    そして、岡っ引きの親分の塩沢ユーキさんは、時代劇の二枚目風の姿とカタチが良く、その手下の又八(岡本正仁さん)の濃さも良かったと思う。

    さらに、白鷺新三郎を演じた徳留英人さんの、悪っぷりが、イヤになるほど良かった。この存在がなかったら、物語はもっと平板になってしまったのではないでろうか。ラストの、親の話で見せる、一瞬のスキのような見せ方もうまいと思った。

    マカロニ的な要素は多々あったが、マカロニにこだわるのならば、善悪のバランスが微妙だったり、悪のほうに憎めなさ的な要素も欲しかった気がする(そういう役回りの手下がいたが、そういう効果は出ていなかった)。
    三猿が仲良すぎるのもマカロニ風味ではないような。つまり、いつもは悪態をついたりしながら、仲が悪そうに見えて、いざというときは! という関係のほうが良かった気がするのだ。

    マカロニに、それほどこだわらないで観るとしても、主人公の三猿と女性たちが、子どもの頃にされた、酷い仕打ちの部分を、もっと具体的に見せてくれたほうが、復讐劇の様相に拍車を掛けることができただろうし、物語の膨らみが出たのではないだろうか。

    ストーリーは単純すぎたかな。

    また、殺陣の回数は多いのだが、あまりに単調すぎるのではないだろうか。例えば、『用心棒』のときの出刃包丁だったり、『続・荒野の用心棒』のときの棺桶からのガトリング銃だったりという、見せ場やアイデアが欲しかった。
    さらに、カンカラ的な、殺陣のときの笑いももう少し欲しかった。
    ・・・あれも欲しい、これも欲しい、と欲張りすぎだけど、それだけ面白く観たということでもあろう。

    いずれにしても、殺陣を入れて、笑いの要素も少しあり、エンターテイメントとしての時代劇を見せてくれる劇団としては貴重な存在だ。もっと面白くなっていくような気もするし、それを期待したいと思う。
    次回は次郎長モノだそうだ、この雰囲気ならば、期待できるような気がする。

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    2010/06/25 06:22

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