実演鑑賞
満足度★★★★
タイトルにつられたわけではないが、1幕の最初のところでちょっとうとうとしたのが失敗だった。例によって、KERAの芝居はいろいろなスジが入れ子細工になっていて、そこをつかみ損ねるとスジが腑に落ちない。それでも、総勢20名近いキャストクレジットの出演者たち、思わず見とれるマッピング映像、耳に新しい劇音楽などにつられて、次々と天井の高さを生かした背の高い舞台で繰り広げられるKERAカラー満載の芝居をぼんやり見ているだけでも芝居見物にはなる。どこも金がかかっていて、話は結局チープなところもあるわけだが舞台はゴージャスなのだ。
要は、現代のよくわからぬ管理社会へのKERAらしい批判ファンタジーである。管理社会に対して森のサーカス団とか、AIを搭載したヒューマノイドが官僚だとか、規律も宗旨も怪しい尼僧団や市民運動とか、地下の収容所や拷問室、とか、どれもそのシーンを見ている間は面白いのだが、そこを横断していく緒川たまきと北村有起哉がよくわからない。
それでも、12800円の一階ははびっしり満席だった。長い。1幕1時間50分 15分の休憩で後半2幕が1時間25分。併せて3時間30分。聞くと、開ける前に舞台機構の故障があって、丸一週間初日が遅れたとのこと、それならまだ開いて4日目だったのか。劇場のミスは全く見えなかったが役者はまだ少し堅い感じだった。