実演鑑賞
満足度★★★
「うずうず」
キャプテン森ようこさんの脳内を彷徨い歩くような体験。少女漫画の散文詩のようなものから、フェリーニの見る異形の夢まで。ガイドラインとして、副キャプテン佐藤梟(ふくろう)さんがコロナ後遺症で屁の臭いが分からなくなり、ぎたろー氏の医師にかかるストーリーが綴られる。『ドグラ・マグラ』と共に胎児の夢を見て、J・A・シーザーの楽曲で踊るアングラ新興宗教。手動の吊りワイヤーで上手から下手に流れていく小道具。謎の行進。それは幻燈に映し出された影絵のよう。
田中りかさんのヤギ?が美しい。小林桂太氏は地面と平行に壁に立つ。山高帽とステッキの発起人・本多一夫氏(89歳!)は小演劇界のゴッドファーザーのように佇む。まるで『時空のおっさん』みたいな存在。ちなみにシアター711は氏の誕生日から名前を取っている。
何と言っても大図愛さんが最高。彼女のファンは必見。アングラでおなじみの面々が妙なことをやっていても既視感がありもう見慣れちゃっているのだが、そういうイメージのない人が演ると異化効果が凄い。四角錐と立方体が組み合った謎のバイタルセンサーを抱えて「すーっ」と呼吸する登場から良かった。
舞台上はまるで前田日明のようなインテリトンパチ振り。無駄に学がある気違いの演説のよう。クリシュナムルティの講話を延々聴かされてラリっていく感じ。
右脳と左脳の話は面白かった。
直感的思考の右脳は「うずうず」と「りんりん」、論理的思考の左脳は「ぱきぱき」と「もやもや」。同じものを違う回路で味わうシステム。
森ようこさんはいい女。