サウイフモノニ・・・ 公演情報 劇団チョコレートケーキ「サウイフモノニ・・・」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    エピソードの積み上げ方による、物語の構築が素晴らしい
    ディティールを大切にして、台詞にきちんと意味を持たせ、それが活きてくることのうまさがある。

    現在と、聞き取り調査の中でのエピソード(過去)の部分の切り分けと、組み合わせによる見せ方のうまさ。
    それを演じた役者の力量も評価に値する。

    ネタバレBOX

    宮澤賢治『グスコーブドリの伝記』を下敷きにした物語。
    自己犠牲がテーマである物語の、主人公の本当の姿を暴こうとするのは、同じように、父親が他人を救うことで悲しい想いをしてきた男。

    しかし、本当の姿を暴く過程で、男の内面にある父の姿を浮かび上がらせていく。

    その物語がとてもよく、深い味わいを残す。

    役者たちは、簡単な扮装や所作でいくつもの登場人物を演じるだけでなく、同じ登場人物の別の年代をも演じる。
    一見複雑になりそうだが、その組み合わせが、見事に効果を上げている。

    回想シーンの積み重ねによって、物語は進んでいくのだが、それが単調にならずに、並行させたり、時代の前後を自在に動かすという演出が見事。
    また、高低差のある舞台装置の使い方もうまい。

    グスコーブドリの一番年長を演じた山崎雅史さんが一見、知的で冷たそうに見えつつも、ラストの人間的な吐露がとても効いていて、グスコーブドリの本当の姿を垣間見せていた。

    また、クーボー博士(西尾友樹さん)の動きや台詞回しが、何を考えているのかわからない、天才肌の一種近寄りがたい雰囲気を見せているのもよかった。あのように接してきたら、混乱するであろう。
    それに対して、ペンネン博士(菊池敏弘さん)のクールで理知的な雰囲気もよく、舞台が締まって見えた。

    これだけ、物語がうねって行くのに、物語を進行されるだけでなく、台詞がきちんと機能していることも素晴らしい。
    台詞で、物語の、より深みが増していくシーンが多かった。

    印象に残っているだけでも、クーボー博士が神についてグスコーブドリをはじめとする若い科学者に問い掛けるところや、グスコーブドリが妹と再会したときに、妹がグスコーブドリに聞けなかった「私を捜しましたか」という台詞、また、ペンネン博士が、「自分たち科学者に恐怖する」というような台詞などがある。

    それらは、痰に何かを直接的に訴えたり、答えを求めるのではないあたりがうまいのだ。


    余談だが、グスコーブドリが新しいエネルギーを生む炉を止めに、中に入って行くというシークエンスは、ソ連原潜K-219の臨界事故の際に、原子炉の臨界を防ぐために犠牲になった水兵の話を思い出した。

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    2010/06/19 03:51

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  • あきら様

    ありがとうございます。

    次回公演は10月を予定しております。

    そちらにも是非お越しください!

    2010/06/28 14:19

    ゆーすけさん

    コメントありがとうございます。
    次回も楽しみにしています。

    2010/06/25 02:50

    素敵なコメントありがとうございます。
    この作品を通して、何かしら感じて頂けたのなら幸いです。

    ご来場ありがとうございました。

    2010/06/24 15:03

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