ロリコンとうさん 公演情報 NICE STALKER「ロリコンとうさん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ロリコン( 幼女 ・ 少女 への恋愛感情)という性癖のある人々の心情吐露、それを世間(実態を知らない人々)というフィルターを通すことで不器用と不寛容が浮き彫りになるような公演。芝居として表層的には面白いが、少女愛への共感・共鳴は出来ない…そう感情移入が出来ないのだ。冒頭、フィクションと ことわりがあり、理屈で考え 観るつもりはなかったが、どこか醒めた目で観ていた と思う。

    さて、物語では ロリコンの対象年齢が小学生以下のようだが、登場するロリコンの人々は大人の女性と恋愛をし結婚もしている。勿論 ロリコンとうさん というから 父親 である。この<親>ということが肝。ちなみにロリコンとうさんの身長は 149.9cmと小柄、舞台では桑田佳澄さんがランドセルを背負って熱演している。

    当日用チラシにもあったが、ネットで募集した40人以上の「ロリコンの方」と会い、通話し、テキストを送り取材した、フィールドワークに基づいて作劇したという。それゆえ、ロリコンという性癖の描きは、実に自然体だ。何となく解らないのが、どうしてロリコンになったのか、その理由や原因、または生まれもった性癖であったのだろうか(自分の知識・認識不足か?)。フィールドワークで そこを質問しなかったのだろうか? そんな 素朴な疑問を持った。

    終演後の挨拶で 作・演出のイトウシンタロウ氏が まだ次回作の予定がないと言う。ロリコン公演に全力を注いだのであれば、今度は「シスコン」などは…。
    (上演時間2時間10分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    ほぼ素舞台。中央に「LOLIcom」と書かれたオブジェが設置。
    自分のロリコンという性癖に向き合う人々の悲哀と可笑しみに満ちた暮らし、その生き様をフィールドワークに基づいて作劇した野心または挑戦作。タイトルからは想像できないほど真面目に描いており、その物語性(展開)も巧い。イトウシンタロウ氏は、世間から偏見の目で見られそうなロリコンという性癖に独自の<光>をあてたようだ。

    痛みに似たような感覚、それを分かち合うような独自の作家性ー舞台という虚構性に現実の存在を取り入れーと熱い思い入れが伝わる。どうしても創り上げたかった、その強烈な渇望に満ちた渾身の一作のようだ。
    本作はフィールドワークに基づいているから、自ずとロリコンという性癖を持つ人の視点。しかし ロリコンとは知らず付き合っている女性の気持はどうなのか、が気になる。

    ロリコンとうさん:桑田澄太郎役を小柄な桑田佳澄さんが演じているが、何故 彼女が演じているのか。その謎が最後に明かされるが、その性癖ゆえに悩ましく切ない。自分に正直に生きようとすれば するほど悩みは深くなり、周囲の人々との関係も微妙になるようだ。舞台という虚構性の中に、リアルな思いを巧みに掬い上げ興味深く表現していた。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/09/03 12:07

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