よせあつめフェスタ 公演情報 プロジェクトあまうめ「よせあつめフェスタ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    美味しくて楽しくてお腹いっぱい!な公演。
    場所における偶発性のつぶやきに、スケジュールの空いてしまった劇場を『穴埋める』救世主的なつぶやき、延いては緩い助け合いの精神からはじまった企画公演が、演劇の常識を覆してしまったかもしれない、ビッグな結果に。
    最初ついったーでこの企画を知った時には半信半疑だったのだけども、公演に至るまでのドキュメントをついったーでみる度に、ドキドキワクワクさせられた。
    面白そう!という素朴な好奇心から携わったひとたちによる公演だったためか、やらされている感が全くなかったことが観ていて非常に心地よかったし、人のチカラってすごいなぁと素直におもった。
    本編はとても2週間で準備したとは思えぬほどの完成度の高さ。役者の演技も素晴らしく、スタッフワークもみんなに楽しんでもらう配慮がナチュラルにこなされており、何だか胸が熱くなった。
    このような突発的な祭りにまた今度、はないものかもしれないが、また観たい!気持ちが募る公演だった。

    ネタバレBOX

    前説と前前説がある公演ってはじめてみました。前前説では、なんちゃらの関村氏がうだうだ何かしゃべってましたが、「携帯電話の電源はお任せします」的なことを言っていたことしか記憶にありません。汗

    前説では、オケタニ氏が以前ENBUゼミに通っていたころの裏話や、ウルトラマンや仮面ライダーの1シーンを映像でみながら、ツッコミを入れていくだけのシンプルなトークショーだったのですが、オケタニ氏のヒーロー愛がたっぷり感じられる内容で、これがめちゃくちゃ面白かったです。

    さて本編は、短編6つ。物語に前後のつながりは特にありませんでした。

    一話目。
    今回の公演の発端である『ツイッター』を題材にしたお話で、ツイッターでつぶやきまくっている女子社員と社長の休憩時間の雑談。女子社員のつぶやきに興味津々な社長は「社長は社員を愛している」のでアカウントを教えるよう命じるものの、「社員は会社を愛している」とあっさり断られ、それでも何とか女子社員の気を惹こうと自身がツイッターでつぶやいているエロポエムを音読しようとしたりする。この時、応援団のようなスタイルで意気込もうとする社長が可笑しい。ラスト、「球団買った(なう)」とツイッターでつぶやく社長が、後の孫○義である、とのナレーションのオチに場内爆笑。まさに一話目にふさわしい内容でした。

    二話目。
    舞台は、とある男の子(仮にAくんとします)の部屋。
    Aくんの家で遊んでいるオトモダチ(仮にBくんとします)は、『明日バイトがあるから』もう家に帰りたそうなのだけど、Aくんは、Bくんのライフスタイルを邪魔したいのか、一緒にまだ遊んでいたいのか、理由は何なのかよくわからないけど、とにかくあれこれ理由をつけて、時にはウソをついたりして何とかBくんを家から帰らせないようにしている、っていうただそれだけの話。
    朝からバイトのBくんが、朝マックで働いてるってことにAくんは勝手にしてしまったり、マクドナルドの略し方がマクドナだったり、すき焼きしようと思いたったり、ペプシコーラを開ける時、ペプシ!って音がしないのはなんでなんだろーとかにわとりの鳴き声がアメリカと日本じゃ随分違うよねーとか、特に何がある、って訳でもない無駄話がだらだらと続いていくだけで、結局彼らの名前すらよくわからなくて、ヨモギダとかいう何やら陰謀を企てているらしいひとしか固有名詞は出て来ないんだけど、Aくんのホラ吹き話しをもっと聞きたいって思えるクセになりそうな絶妙な間とふたりの仏頂面と視線が孤高でよかった。六話みたなかで、私はこの話が一番好きだったかな。

    三話目。
    知りあって間もないお見合いパーティーが趣味のスピカ、この3人のなかで中心的存在の何故か自分のことをビッチって呼んで欲しいと懇願する女の子、2人の会話の聞き役に徹するおっとりなナオちゃん。ら3人がお互いの親睦を深めるために、どっかの貸し切り会議室でおしゃべりをする話。
    お見合いと掛けて相撲と解きます。その心は・・・『見あう』的な、ビッチとスピカの相撲は見物。体当たりでぶつかりあったふたりが、最後、握手を交わし、満足気な顔をして退室し、最後にここの場所台が21万なので、ひとり7万円づつお願いしまーす!と言ったスピカに「えーシアターミラクルより高いじゃん!」の捨てゼリフに、脚本家のセンスを感じた。

    四話目。
    喫茶店を切り盛りするお兄ちゃんと、ニートな姉、学生(だったかな?)の妹の話。ニートな姉はカフェの店長になりたいのだが、どうしたらいいのかわからない。妹にはとにかく働け!と怒られ、取っ組み合いのケンカをするものの、途中で疲れて姉は寝そべってしまう。突然姉の運命を変える電話がなって、スーパー○ショーのレジ打ちに見事合格したとつたえる、ラストは爽快。

    五話目。
    体内グーグル(笑!)の検索をかけて唯一、ヒットしたトモダチひとりと別れた妻の兄とともに、ロックバンドを組んで、余命いくばくもない別れた妻を勇気づけようとする夫の話。
    楽器を弾いたこともなければ歌ったこともない元夫が、音楽があれば何とかなりそう、という幻想を抱き、同じく音楽に全くド素人なふたりを、めちゃくちゃな論理を振りかざして巻き込んでいく様は圧巻。弱り果てて行く妻を横目に病院内の看護婦と安易な浮気に走ってしまった夫が、もうしゃべることもできない妻からくる不意打ちの電話口で、彼女が何を言っているのかわからなかったけれども、彼女を気遣うやさしい心がまだ彼に残っていることには救いがあるように思え、やっぱり最後は3人でバンドやろう!ってことで団結するのは、彼らの遅すぎた青春を観ているようで、痛々しいけれどもいいな、とおもった。この話しは六話の中で唯一、長編で観たい、と感じた作品であった。

    六話目。
    部屋のなかにいる男女。ふたりは向かい合っているものの、彼らの間には、透明な石があり、これ以上近づくことができない。この石を通して彼女を見ると彼女はふたつに分裂しているように見えるらしく、彼は彼女を「君たち」と呼ぶ。この導入部分はかなりいい。最初彼がこれぐらい、と両手で示した石の大きさが彼女が触れる大きさとずいぶん異なっており、同じ大きさを共有していないことがふたりの距離感に大きく作用しているのかとおもうと面白くおもえたのだが、見えない透明な石が、途中から赤い石に変わり、最後は石の大きさが彼と彼女がこれまで触れた大きさとはずいぶん違った適当な大きさに変わり、そのことに対する説明は、特になされておらず、赤い石というのも情熱の赤に見立てた、とか何とか思わせぶりな発言があるだけで、でも、最後にふたりが外に放り投げた石でふたりの共通の知人であるらしいスズキくんはつぶれて死んでしまったので、透明の石は重かったということになる。
    のだけれども、この石の心理的な質量の注訳がなされていなかったことから、ただ何だかよくわからない話しに終始してしまったのが惜しい作品だった。

    上司と部下、トモダチ、家族、知人、複雑な関係、恋人・・・。6話のなかで、関係性がひとつもダブっていなかったことも楽しめた要因だった。
    余談だけど、6月のカレンダーの『13』にだけパンチで『穴』をあけたまぁるいチケットも凝っていて素敵だった。

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    2010/06/14 00:59

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