血の底 公演情報 演劇プロデュース『螺旋階段』「血の底」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    バブル期を背景に人の痛みと悲しみ、そして憎しみを描いた人間ドラマにして社会ドラマ、その重厚・骨太作品は観応えがあった。事件を追う手法で次々と明らかになる事実、しかし人の上っ面ほど信用できないものはない。その騙し騙されは、ますます不幸の連鎖を生む。まさにバブル崩壊によって土地神話が崩れ、金融機能は行き詰まり金融機関の破綻、そして国家経済の低迷期へ…に重ねるような展開である。事実という点と点が繋がり線として交差するが、全てに紐付けするようで 少し強引に思えた。

    タイトル「血の底」は、勿論 バブル期の<地>と掛け合わせているが、物語では そのまま<血>の底、その深い憎しみを表している。しかし、その憎しみこそが 生きる<力>にもなっている。そのためには人を騙し貶め、そして奪う。劇中にある「バブル期とは何だったのか」は、今にして思えば浮かれ踊り狂った幻想の時期だったような。表層的には、恨み辛みを果たすための復讐劇に観え(思え)るが、人の感情ほど読み取れないものはない。その底知れなさに この劇の面白さがある。

    舞台美術が、物語そのものを表しているよう。擂鉢状で さらに底には穴がある。掘っても掘っても底が見えない、その どこまで続くのか解らない人の怨嗟と強欲。演劇的には奈落の底といったところであろうか。そしてぶちまける砂、まさしく築いた地位と財産、そしてバブル期という<砂上の楼閣>を表しているかのようだ。
    (上演時間2時間30分 途中休憩なし)【白チーム】追記予定

    0

    2023/08/27 15:56

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大