アオハルがやりたくて 公演情報 リブレセン 劇団離風霊船「アオハルがやりたくて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    初見の団体…面白い、お薦め。
    この劇場で上演前の緞帳は初めて見たかも。説明に「とある車両に乗り合わせた6人の男女がおりなす人間模様」とあるから、セットは何となく想像できる。表層はアオハルに憧れる女子高生:山田佳菜子(赤松怜音サン)の 心の葛藤 いじらしさを描いているが、その展開は意表をつく。因みに 赤松怜音さんは、若い時の多部 未華子に似ており 本人登場か と少し驚いた。

    登場人物の苗字は勿論、劇中の場面に映画の名シーンを挿入している。映画好きには 直ぐ分かるが、そうでなくても物語の一場面として上手く取り込んでいるので楽しめる。全体としては ミステリー、奇怪といった雰囲気を漂わせているが、その不思議感覚(演出)こそが肝。

    乗り合わせた人々の役とキャラが妙。何の接点もないが、主人公の女子高生の心に寄り添うような言葉(台詞)と行為(好意)、普通であれば関わることがないだろうが、特殊な状況ゆえに緊密になる。人々の煽(アオ)によって治(ハル)ような女子高生の心持、その青春の一幕はぜひ劇場で…。
    (上演時間1時間5分) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は電車内。つり革やソファー、そして広告が見える。
    山田佳菜子は、文化祭の準備を押し付けられ やり終えての電車内。乗車しているのは中年男性・針生、中年女性・林田、乳母車に赤ん坊を乗せた女性・大鳥、そして途中から男子高校生・石井が乗ってくる。突然の急ブレーキ、電車が動かなくなる。車内という閉鎖状態、なんとなく気まずい雰囲気になるところだが、針生が皆に話しかける。

    不安になる状況下において 明るく振る舞う。そして つり革を雲梯のようにして遊び、ソファーに寝転ぶ。普段の車内では出来ないことをして楽しんでしまう。一方、佳菜子は引っ込み思案、人見知り、自己肯定感が低い。そんな自分を何とか変えたいと思っている。少しずつ 針生のポジティブな思考に影響され…。

    佳菜子は、映画好きであり人に興味もある。例えば、大鳥はオードリーヘップバーンに似ており、映画「ローマの休日」に出てくる<真実の口>の名場面を演じる面白さ。電車が不規則な動き 停車をするなかで、佳菜子が石井に後ろから抱きしめられるのは、「タイタニック」の甘美な世界。有名映画のワンシーンをさり気なく挿入して楽しませる。

    いつからか、車内の外に人影(謎の男)らしきものが…。そして乗客が一人づつ車外に消えていく。赤ん坊の泣き声が車内に甲高く響くが、実は赤ん坊は存在しない。一瞬オカルトかと思わせるが、最後に車内に残ったのは佳菜子と石井だけ。夫々の乗客は佳菜子へ声掛けをし、彼女の内気に対する励ましをする。そして今ある状況に唖然とする。再演があるかもしれないため、結末は伏せておく。しかし 実によく考えられたシチュエーションで観応え十分。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2023/08/19 07:28

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大