満足度★★★★
『視野』という『空間』
会場はフラット。
椅子はなく、観客は座布団を受け取り好きな場所に陣取る。
このスタイルが、大変興味深かった。
ドリンク付きなのでビール片手によっこら。
音楽と照明が心地よい。
『見上げる』演劇であった。
夢と現の境を生み出すようなreset-Nの作品世界(だと、自分は思っているのだが)。
舞台の境界と椅子の高さが無くなった時、空間全体が世界になり、その中に自分達がいる。
なんだか、水中にとぷんと沈み、水面を見上げているようである。
天井が高く、芝居の最中も天井部がよく見えるのだが、見上げてみるとそれがまた美しい。
こういう作品だと、余所見しても面白いのである。
(途中でビール買いに立ちたかったけど、ちょっとそれはしづらい雰囲気でした)
さて、今書いているのは俗に言う「セットが素敵だった」というようなことでは決してない。
この作品は外から『観る』のではなく肌で『感じる』ものなのだ。
舞台に映し出される世界を傍観するのではなく、その世界に入る、一部となる。
彼らは、そんな空間を創り出した。
今回は、椅子をとっぱらった時点で、彼等の勝ちである。
これ、一座でも参考にしたいなあ。
終演後にパンフを読んだのだが、主催の夏井さんのひと言。
「これが演劇です」
なるほど。
行き返りに渡る吾妻橋が、またなんともいい効果でした。
ほら、あの、神社にお参りに行くような感じね。
隅田川を眼下に橋を渡り
ふたたび、日常へ。