燦々 公演情報 U-33project「燦々」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     役者は全員女性。

    ネタバレBOX

    所謂Z世代と見受けられる。短編3作品のオムニバス形式での上演だが役柄には男子の役柄もある。因みにZ世代という単語最近よく見掛けたり聞いたりすることが多いが元々アメリカで1960年代から70年代生まれの世代をX世代と名付け次をY世代、そして現在ミドルティーンから23~24歳くらいの人々をZ世代と呼ぶようになったということのようである。Z世代は所謂デジタルネイティブとも呼ばれる世代で、育ってきた環境の中にデジタル機器があり、それらを自由に使いこなす世代という意味で使われているようである。そうは言ってもここにも格差はある。電話網が整備された後、インターネット環境が作られた国々では電話網を構築する為に莫大な費用が掛かっていたが、通信インフラの中でも携帯については開発途上国の多い地域では通信の為の大規模な設備を備えることなく送受信できる設備を備えれば実際に携帯電話やスマホが使えるような技術が拡大して急速に普及したから携帯でのネット環境は20世紀末ほど落差は無いかも知れない。何れにせよ兎にも角にも情報の氾濫する時代に生まれ育った世代の物語という感触を持った。女優陣、皆一所懸命に演じているが、彼女らの感覚から言えば一生懸命なのであろう。その落差は感じた。つまり武士の守るべき所領という具象を持たず、何となく具体的な目標も持たずに頑張るというイマージュのみが空疎にあるような無いような。(この表記もそのアンヴィヴァレンツを表現してみた)
     3作品を上演順に述べておく。1:謝ったら死ぬ病 2:ワンダフルな人生 3:意味不明 3作品に共通しているのは、内実の無いイマージュに翻弄された登場人物しかいないこと。3作目のみ、男子役の台詞には、そのことに気付いている様子が描かれており、役としては男女カップルのこの微妙なずれを照明が見事に表現していたのが白眉であった。
     舞台美術は1点(Aとしよう)を起点として大小の正方形を2段に重ね大きな正方形を1段目に小さな正方形を上段に設えて時計回りにB,B‘、C,C’、D,D‘が平台を使って作られている。AからD’方向へ黒幕が天井から張られ、AからD迄は袖が設けられていて出捌けに用いられる他AからB‘迄矢張り天井から黒幕が垂らされ目隠しになっているのでこの裏側を通って2番目の出捌け、3番目の出捌けはAからD’の目隠しで裏導線を形作っている。客席はD‘からC’の対面とB‘からC’の対面。
     具体的な焦点を持っているつもりになれる我々の世代とは異なり、最初から曖昧模糊としたイマージュしか持たない者が大多数を占める世代らしく表現自体が曖昧模糊としているが、その靄のような生の央を生きる不如意が伝わってくる点で時代を浮き彫りにしてみせた。

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    2023/08/18 02:26

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