家族耐久 〜野口家〜 公演情報 劇団HallBrothers「家族耐久 〜野口家〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    耐久してるのはむしろ観客
    上演時間は久保家と同程度。
    久保家に比べれば少しは役者が自分の演技を固めてきている(ベテランチームと新人チームで分けていた事は後から知った)が、それでも脚本と演出の薄っぺらさを埋めるまでには至らず、だ。

    ネタバレBOX

    四兄弟の「チームワークは抜群」だったとかいう、あらすじにちょこんと書いてあるだけの設定はいったい何の役に立っていたのだろうか。
    それを匂わせるような兄弟間のやりとりは舞台上では見受けられなかったし、むしろ会話といえばどうにもハッキリしない言い淀みばかりで、そこで兄弟らしく何かを察してやるというような事もない。まるで昨日今日会ったばかりの他人同士の会話だ。
    せめてもっと無意識下にある繋がりが見えれば兄弟らしく見えただろうに。例えば似たような癖(口調や仕草)を持っているとか、食の嗜好があるとか、方法はいくらでもあるはずだ。なのに、長男はファンタ、次男はタバコ、末女は酒呑み、といったような不必要な書き分けをするものだから、ますますこの家族の持つべき雰囲気がぼやけてしまう。
    兄弟関係の他に、長女の旦那の人物像にも大きな問題がある。なんだ「ニャ〜」て。それが許されるのは付き合いたて1〜2週間までだろう(個人的意見)。
    この旦那からはかつて我が子を失った悲哀が欠片も感じられない。むしろそんなトラウマなんか知ったことかと、嫁に耐久レースへの参加を促そうとする。いくらなんでも無神経すぎやしないか。
    他にも末女に関するサイドストーリー(恋人と何かあった?本当に仕事で戻るの?実は拾い子?etc・・)への思わせぶりな誘導があったようだが、特に結末に活きるわけでもないのになぜ挿入したのか?
    そんなもので物語に奥行きをつけたつもりなら完全に見込み違いだ。観客にとっては無駄・以外の何ものでもない。

    雑多な部分に突っ込みを入れていくと、火を点けたばかりのタバコを次から次に消しまくったり、酒を注ぐ動作がほんの一瞬だったり、そんな小さな所作ひとつひとつ挙げつらっても、リアリティを追求するつもりは毛頭無いのだろう。

    総じて、一本の作品としては、あまりにも低い完成度であると言わざるを得ない。

    ここでこの企画自体への疑問が生じる。
    「なぜ2つの公演に分けたのか?」という点だ。
    本来、「2本立て」というものは、一度に2本続けて楽しめるというお徳なものであり、この企画のように別々に料金を払って見るのでは意味が大きく異なる気がするのだ。
    それでも「2本立て」と銘打ったこの公演、久保家/野口家を両方とも見るためには、わざわざ倍の料金を払って、倍のスケジュールを空けて、倍の交通費を使って、倍の折り込みチラシを渡されるのだ。

    劇団側はそんな観客の労力を考慮した上で本企画を進めていったのだろうか?
    そんな観客の労力に見合うものを仕上げ、見せてくれたのだろうか?

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    2010/06/09 22:02

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