恋女房達 公演情報 青☆組「恋女房達」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    食わず嫌い?
    正直、短編集というものはあまり好きでじゃない。

    小説であれ、映画であれ、コントであれ・・・短編にしている分、どうしても肝心な部分を表現しきれていないんじゃないかと感じてしまうからなのだが・・・

    どうもそういった自分勝手な考えは捨て去ってしまった方がいいのかもしれない・・・。

    そう思わされた。
    それくらいに面白かった。

    なにしろ「舞台なんてこれくらいがちょうどいい長さなんだよ」とでも言わんばかりに無駄がなく、そして深く、創造性に溢れていた。

    食わず嫌いだったのか?

    いや、
    違うと思う。

    だって、これまでだって何度も短編作品は観てきたんだから。

    つまり今回は以前のそれらとは根本的に違うってことだ。
    うん、そういうことだ。

    すこぶる良かった。

    ネタバレBOX

    そして僕が家に帰って最初にしたことはソーメンを茹でて食べることでした。

    そんな生理的な面への影響も十分すぎるほどに与えられました。
    ええ、それは「恋女房」の昼食の場面のせいです。

    ズズーッとソーメンだか冷麦だかをすする音はどうしようもなく耳に残ったのです。本物を使うってことはいいことですね。本能に訴えかけてきました。

    そうやって家に帰ってズズーっと誰にはばかることなく大きな音を立てながらすすっていると、ふと先程観たお芝居に対する感想が浮かんできました。

    「押しかけ女房」・・・コントのような奇想天外な話かと思い半笑いで観ていたら
    実は浮気相手の奥さんですか・・・恐ろしいです。まさかの展開にすっかりやられました。そして雨の音がやけに耳に残りました。さらには、電話の呼び出し音がNTTの陰謀だという話が心に残りました。

    「スープの味」にしたってそうです。僕はすっかり油断していました。だから、その真相を知った時、僕の両の頬にはちょっぴりしょっぱい水分が流れ落ちていたのです。

    それにしても「赤い糸」って・・・実際あるんですかね。僕は僕のことを運命の人だと言ってくれた三人の女性とサヨナラしています。もしかしたら赤い糸を自分で切り捨てていたのかもしれません。ちょうどあんな風に・・・。

    「末永い夜」・・・再び僕のホホに水が流れる羽目に・・・ああいうの弱いんです、僕。

    なにしろ素敵な六つのお話でした。
    まるでおとぎ話のようでした。

    音楽で言えばベストアルバム級ですね。

    ああ・・・そういえば音楽と言えばその昔、それはオーケストラが作り出すもので、一曲が何十分にも及ぶものだったわけですよね。だから、その頃の人達にとっては、今のように一曲がほんの数分で終わるような短いものになるだなんて想像もつかなかったでしょうね。

    時が経ち、音楽は形を変えたわけですが、僕らはそのほんの数分でどうしようもなく泣けたり、そして元気が出たりもするわけです。

    そう考えると今回の短編集・・・お芝居の新しい形なのかもしれませんね。

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    2010/06/06 23:24

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