満足度★★★★★
ヘッドフォンからはじまる世界。
血眼になって世界中を探してみても、もうどこにもジブンの居場所は残されてはいないだろう。そんなあまりにも悲観的な孤独にも似た疎外感に呼応した(かもしれない)者たちの絶叫が聴こえてくる。手を伸ばせばすぐにでも届きそうな場所だったはずなのに燦然としない。幻聴だったのだろうか。あるいは私のなかの叫びだったか。
他者と自己の境界線が、インターネットの海のなかでかき消され、融和され、混在しながら存在する不特定多数のバーチャルリアル。
はたして本当の声はいったいどこから聞こえてきたのか・・・?
心に響くってどんな音?とか、誰かと分かり合えないかもしれない私について考えたことのあるひとや、SFが好きなひとたちに是非お勧めしたい作品です。