チョビ 公演情報 ここ風「チョビ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    超満員の上、通路や先頭のスペースにまで増席。会場を間違えているとしか思えない。サンモールスタジオがいいのでは。そこを本拠地にしている東京AZARASHI団と今作のテイストは重なる。

    主演は天野弘愛さん、通称チョビ。
    児童養護施設出身者の同窓会。会場の浅草近辺の民家はやたら駅から遠く、蛙の鳴き声がうるさく感じる程田舎。久し振りに顔を合わせる面々。天野さんは例年の隅田川のとうろう流しに参加するも勢い余って川に落下。はぎこさんの竹竿に救われる。服はビショビショで仕方なくジャージ姿。

    虐待で右胸の二つのホクロの下に煙草を押し当てられた火傷の跡。それをずっと隠していた天野さんだったが火傷の跡がチョビ髭に見えると、施設の悪ガキのノブ(吉岡大輔氏)にチョビという仇名をつけられる。自分の心の傷を鼻で笑って生きていく生物の強さ。国からの措置費と寄付で運営されている養護施設だったが、資金難で先行き不安。8歳のチョビは自ら金持ちの養子に入ることで金を引っ張って来ようと企んだ。

    当時13歳だった里沙(藤木蜜さん)は滅茶苦茶頭が良く将来は弁護士になると決めていた。
    当時7歳だった亜矢(はぎこさん)はノブを密かに恋してた。
    当時10歳だった弘信(香月健志氏)は弱いくせに将棋に命を懸けていた。
    同い年のノブは喧嘩相手のチョビのことを・・・。

    冒頭からちょこちょことした伏線、一体何の話なのか不審に思わせる。そこを綺麗に回収してみせるラスト、成程!

    ネタバレBOX

    天野弘愛さんの足の指が一本一本細く長い。
    はぎこさんは山本彩を思わせる強キャラ。
    藤木蜜さんはミッツ・マングローブのようなキャラの奥深さ。

    チョビを里親として迎えた夫婦。元スリの高橋亮次氏と大企業のお嬢様、星出紗希奈さん。
    貧乏夫婦を同居させてやるのは陰を背負った植木屋、牧野耕治氏。もう井川比佐志だ。
    顔を出す幼馴染のヤクザ、斉藤太一氏。

    『サザエさん』に心の何処かで憧れる、『サザエさん』とは似ても似つかぬ家族達の物語。

    里親の家が貧乏なのを知ったチョビは帰ろうとする。だが養護施設は火事で焼け落ち、皆亡くなっていた。帰る場所なんかもう何処にもありはしない。チョビは彼等がもし生きていたならどう成長していったかをずっと妄想しながら暮らしていく。そして今年のとうろう流し、岸に引っ掛かった灯籠を取ろうと手を伸ばして川に落ちてしまう。実はここは死後の世界であり、皆はチョビを励まして生者の世界に送り返す。

    物足りないのは笑い。キャラ設定が弱い。いつもの狂ったセンスが足りない。ヤクザ・ギャグだけでは普通のコメディ。『異人たちとの夏』に至るまでに激しい笑いの空間が欲しい。施設の連中とのエピソードと養父母のエピソードが交差するのだが上手く行っていない。施設の連中のことを一生忘れず想い続けるだけの強烈な出来事が欲しい。(その前の虐待の日々の描写か?)

    ワンシチュエーションに拘らない方がいいと思う。作品の表現出来る幅が狭まる。背景は観客の想像力に委ねてもっと自由に作った方が面白くなる。

    三谷健秀氏は一体どうしてしまったのか?彼が必要だ。

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    2023/07/07 17:57

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