実演鑑賞
満足度★★★★★
今の日本ではなかなか見られない、労働運動を扱った硬派で骨太の舞台。会社のやくざを使ったスト破り、賠償請求、切り崩しに追い詰められた労働組合の、組合員それぞれの苦衷に満ちた選択を描く。久々にたたかいの血が騒ぎ、挫折と屈辱に目頭が熱くなるのを感じた。
組合の部屋が、沈みかけた船の甲板のように、大きく床の傾いたステージになっている。それが大きな穴の中に浮いており、出入りは穴の底から昇る階段デッキを使う。一つの隅にはロープの垂れさがった柱(マスト)。床には机代わりのいくつかの箱と、自動車の部品ベローズがたくさん入ったかご。セウォル号と、難局にある組合の両方を具象化した美術だった。
ギターも2本おかれていたが、時々弾くためだけでなく、この安山市が世界のギターの3割を生産する街であることも示すのだろう。