実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/07/01 (土) 13:00
座席1階
歌あり踊りありの陽気な舞台かと思いきや、ラストでぐっと締める意外にも感じる展開。それぞれ罪を背負って入っている女子刑務所のメンバーたちが、個性豊かに躍動する。いい舞台だった。
刑務所が舞台のはずなのだが、二段ベッドに置かれているアイテムはまるで女子高生の持ち物のようだ。本物の刑務所は私物の持ち込みは制限されているはずだから、設定は少しファンタジーの世界。どんな罪を犯したのかは「言ってはならないことになっている」そうだが、問わず語りに明らかに。スーパーの万引き(常習累犯窃盗)、覚醒剤…。どうして実刑になったのかが、舞台が進むにつれて明らかにされる。
おもしろいのはこの受刑者たちの人間関係だ。刑務所のイメージは牢名主がいて新入りをいびったり、という感じだが、ここでは仲良しグループのように友情の筋が通っている。なぜか房対抗ダンス大会をやるという話になって、ファンタジーの色は濃くなっていく。
だが、それぞれが背負った罪の背景には社会の不条理が詰まっていてハッとさせられる。罪人と言うには無邪気な振る舞いも、その裏にあるものとして闇深い事情、思いが表現される。
個性的なメンバーによる少数精鋭。カーテンコールの後思わず涙ぐんだ主宰の大石ともこに声援が飛んだ。コロナ禍で延期になった今作の経緯が胸に去来したのだろうか。それとも…。