貝殻つなぎ 公演情報 劇団25、6時間「貝殻つなぎ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     B班を拝見、華4つ☆

    ネタバレBOX

     舞台美術はかなり手の込んだもので、通常の出捌けだけで6か所、様々な場所に高低差のある踊り場が設けられ劇の展開をサポートしている。物語自体は若い男女の純愛物といえようがヒロイン、波依音(はいね)の故郷にある“青い池”に纏わる伝説と彼女の出生の秘密、彼女の恋する爽雨(そう)への恋と波衣音に矢張り恋する爽雨故に時空を超え青い池に幾度となく舞い戻って…
     オープニングから中盤迄は、作家が若いのだろう、爽雨に恋する波衣音以外の乙女たちの恋心を現代日本のちゃらついた口語表現で台詞化している為、自分のような爺世代にはやはり空疎な表現にしか聞こえなかったが、まあ、若い人たちの未来を妄信したがる(と言うより現代日本の現実を直視したら耐えられないから回避している)表現と言った方が正しかろう。
     爽雨に起こった事態は、最初今作の説明を読んだ時にはニーチェの「永劫回帰」に似た体験かと思ったがそれとは異なっていた。然し最初に回帰し、少なくとも2度目まではその違いにも原理的に気付けないからその余りに深い絶望にもっと落ち込むのが当然と思われるが脚本にそこまでは描き込まれていないことも確かである。但し冒頭部分で述べたように、だからこそ宿命としての純愛に迄密度を上げたともとれる。中盤から終盤、ラストへの展開はその純度の高さで観客を引っ張ってゆくだけの力を持っている。
     物理的には特殊相対性理論即ちE=mc²で主張されたことをベースに考えればエネルギーと物質の関係は理解でき、以て今作の特殊な構造についても一定理論的解を得ることができるから興味のある方はこの等式にもチャレンジしてみたまえ。
     ところで、ラストシーンに繋がる場面でも良い演出がある。お楽しみに。

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    2023/06/24 18:17

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