実演鑑賞
満足度★★★
いや、結構面白かった。平均年齢69歳の劇団というふざけた座組。それを観に来る客も年齢層高め。オーバー80割なんてチケットまである。ゴッホゴホ咳込み続ける老人に序盤から熟睡の老人達。気の滅入る客席にうんざりしながらも脚本はよく出来ている。
1816年に発表されたE.T.A.ホフマンの『くるみ割り人形とねずみの王様』を大デュマが『はしばみ割り物語』に翻案。それをマリウス・プティパがバレエ作品として台本化し、1892年チャイコフスキーが曲をつけた。
1978年、実写人形アニメーション映画『くるみ割り人形』をサンリオが製作。寺山修司が書いた脚本を子供向けに直したものが使われた。今作は寺山修司のオリジナルを流山児祥氏が脚色。
元大分放送の女子アナ、原きよさんが主演。美少女のまま老いたような楳図かずお調の可愛らしさ。岡部まりと黒木瞳を足したような美貌。とにかく自然に物語を流れて行く。
高橋牧氏(『時々自動』)の作曲した名曲揃い。
戦争や虐殺死体の古いニュース・フィルムが投影される。坂本龍一の遺した言葉。
今作のテーマは現実に起きている戦争を演劇で止める方法の模索。
先日のキャンドル・ジュン氏の会見で「(キャンドルを灯したからといって、世界の戦争が終わるとは思っていませんが)いつか世界から核兵器をなくして、戦争という争いごとがなくなる日を作る。自分が戦争を終わらせるんだと。」との発言があった。
誇大妄想狂の台詞のようだが、このぐらいの大風呂敷を広げられないと“アート”なんか意味がないのだろう。
「目をつぶると見えて、目を開けると消えてしまうものはなあに?」