実演鑑賞
満足度★★★
相変わらずの新国立の新人シリーズ。今年の三人は、それぞれすでに実績もある人たちだが、なんとか見られたのは須貝英だけで、後は、新国がお役所、政府筋向けにお茶を濁しただけだった。今回も、選りに選って難しい沖縄問題を扱っている。
「未来を担う」作家も沖縄の官費旅行が出来るなら良いかと引き受けたのかも知れないが、途中でさんざん「センセイ、そこはちょっとご配慮いただいて・・」と言われたのか、なんとも中途半端な出来である。
南方諸島の散村で伝統祭事が行われようとしている。折から村は選挙の真っ最中、村長派と村議会長派が対立し、その家族も祭事に参加している。本土からはテレビの情報番組のクルーが撮影に来ているが、その撮影許可を巡って両派は対立する。ここらあたり、最初はきっとそうではなかったのだろうと思わせるが、やむを得ない。
舞台は祭事に参加した女性だけ七人の舞台で。全員達者なと言うより、うまい人たちが揃ったので、こういう事態にも事を荒立てることなく1時間40分務める。昔、というか五十年前なら、こうはいかなかったろう。
芝居から見えてくるのは、こう言う民間の些事を巡っても、もう誰も責任をとらない、いや、とる体制が全く崩壊してしまっている、それなのに、選挙という表向きは責任を取るシステム自体は事々しく通用している、それに乗ったモノは勝手なことをして傲慢だ、ということである。新国も予算があるからやれば良いというモノではないよと、この若い女性作家は皮肉を言っているのである。
そこはお見事、であった。いつも通り、半分の入り。老人が半分。