アンゲーテッドコミュニティ 公演情報 北京蝶々「アンゲーテッドコミュニティ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 初日は雨。怪しい物語。
    さてさて、どう纏めたら良いものやら。初日を観てコメントするのが遅れたので、それ以降を観た方とは温度差があるやも。とか思ってちょっと気が引けています。
    既に散々と語られているのであえて触れずともと思いながらも、舞台美術の件。初めてのテアトルBONBONでしたが、劇場に入ってまずは「ここってこんなに圧迫感のある劇場じゃないよね? となると…」などと勝手に憶測。いざ始まってからの舞台の移り変わりでその点に納得。様々な場所を表現出来る面白い構造だったと思います。が、逆に「そこは結局その場所の何処?」と思える瞬間も。
    作風にもよりますが、個人的に上演時間は90分~110分くらいが好みです。そういう意味ではこの作品はもっと長くても良かった様な気もするのです。登場人物が多い割に物語はスマートに纏まっているので、見ていて大事な何かを見逃す事がないだろう親切な作り。とはいえ少しくらいは余計なものがあっても良かったかなー。お肉で言うと脂身の部分。食べない人は食べないけど、食べたい人は食べたい部分。旬のものが油が乗ってるという様な。初日の時点ではまだ乗り切ってなかったかも。楽日に向けてそういう部分が増えるのか期待したいところ。初日はそんな感じでした。
    そもそもの出番の量もあるけど、刑事役の方々が好演していた印象。

    ネタバレBOX

    観ていて『合法。合法。Go Home』いう言葉が頭に浮かびました。何故かは自分でもよく分かりません。
    上演時間は開演の押しを考えると90分。でもあの転換は全部足したら結構な時間がかかっていたはずで、それを足したら90分を切っていたはず。各人物の掘り下げが欲しかったのと同時に、これだけ豪華な客演陣に対して個々の見せ場があまりない様に感じました。「えー、その人もっと色々出来るじゃん!それしかやらせないなら他の人にも出来るじゃん!」みたいな。惜しい。すごく惜しい。油が乗ってなく感じたのはそういう部分ですね。作品的な骨格はしっかりしてるのだから、後ははみ出さない程度に役者と演出の力でボリュームアップして欲しかった。でも、坂本が踊るのと三山が突き飛ばされるのは要らない。あれは面白くない。やってる側も迷いがあって楽しくなさそうなんだもの。
    競泳水着の「そして彼女はいなくなった」の時にも思ったのですが、もしかしてミステリーって休憩が必要なんじゃないだろうか。小説を読み掛けで他の事をやっている時やテレビがCMになってトイレに行った時なんかに『これからどうなるんだろうなぁ』と思ったり、一旦そこまでを思い返して整理したりします。劇中の事を素の状態で改めてサラっと考えてみる。ミステリーの劇中に移入してもらうにはこれって結構大事な時間なんじゃないかと。今回の舞台転換は時間を要する部分もあってそれに代わり得る部分だったのですが、「すげー」と思ってそれ自体を見ちゃったので頭の休憩にはならず。
    素材の難しさ。観る側にとって身近に思えないものはどんな作風であれファンタジーになってしまう。その点で、今回ゲーテッドコミュニティを扱ったのもかなり挑戦的だったかと。少なくとも日本では六本木ヒルズみたいなところに住んでる人って少数派だし、そこで何が起きてるか日常的に聞こえては来ないし気にしてもいない。なおかつ今回は劇中に「ここがそうです!」「私が住んでる人です!」みたいな描写がなく、観る側は劇中でそれを知るらしい人物が語る言葉から情報を得るしかなかった。その人物が共感し易いキャラであれば受け入れやすくもなったけれど、作風的にも何処か謎を匂わす人物ばかりだったので共感するにはちょっと距離感があった感じ。
    セキュリティが上がって犯罪者がいなくなった代わりに冤罪を生みやすくなるという点は最もな警鐘。この部分をもう少し丁寧に扱えば劇中人物よりも作品からの訴え自体に共感して観やすくなったのかも。

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    2010/05/28 18:16

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