星の果てまで7人で 公演情報 トツゲキ倶楽部「星の果てまで7人で」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    トツゲキ倶楽部版「2023年宇宙の旅」…不思議な感覚を抱かせつつ、国・過去・想いを乗せ(背負っ)て飛行を続けている。宇宙の物語だが、そこに独特の人間模様を紡ぐ。が、未来とか希望が紡げるのか?可笑しくも切ないクルーたちの旅物語。ぜひ劇場で…。

    タイトルは<7人>で とあるが、登場人物は8人、そこに未知との遭遇(未確認生物体?)を想起させる面白さ。
    (上演時間1時間40分)【チームハイパー H】

    ネタバレBOX

    舞台美術は暗幕だけの素舞台。
    地球を発って4年、クルーは一人ひとり箱を持ち、下手から上手に一列に進むように登場する。暗転すると暗幕にある電飾が光り宇宙空間が出現する。その幻想的な雰囲気の中で、クルーの一人・マリナ(田中ひとみ サン)の「地球へ帰りたい」という禁句。理由は単純...地球にいる彼氏に逢いたいという。忘れていないか心配だという。この思いが公演の機微に触れる重要なところ。ラストの感動シーンに繋がる伏線になっており見事な演出である。宇宙というSFをイメージさせるタイトルであるが、根幹は人間ドラマである。

    クルーと地球(基地)との交信は「新年」と「誕生日」の年2回のみ。そこへ不思議な交信が...それを契機に東西南北の各国からの代表という自国(民族)意識が目覚める。地球を俯瞰しながらも、国の代表という自覚に捉われるところが人間くさい。祖国に何かあったのでは、という疑心暗鬼がホームシックに結びつき、会議で帰還するか探索続行か決めることに。決議は全会一致というルールであるが、会議の都度、賛否票が分かれる。この混迷を通して、過去から現在まで、世界のいずれかで起こっている紛争を考えさせ、その愚かしさを警鐘する。まさに宇宙的規模の考え方に収斂していく。

    冒頭の箱は衛星機(基)という設定であり、クルーは意識人格(AI)という非実在性、地球には実在する本人がいる、という奇知。地球に帰還すれば心身一体になるのだろうか?クルーの一人・さくら(前田綾香サン)は地球を発つ時には末期癌に侵され余命わずか。今はもう亡くなっており、帰る場所(体)がない。それでも残された家族は彼女のことを忘れず、いつも想っているだろうと...。結局、7機(基)の衛星基は永久の宇宙探索を続けることになるのだが、8人目は時折意識下に入ってくる”おばちゃん”、その正体は如何に(エイリアンか?)

    この宇宙における人間ドラマ、キャラクターをしっかり立ち上げ観せる公演になっている。劇中の台詞「重力」、その言の意味合いを借りれば、公演は「温かで大きな心に抱かれているような気がした」である。ただ一つ、自分的には大きな盛り上がり、インパクトという印象付けが弱かったような気がしたのが残念であるが。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2023/05/27 05:16

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