進 公演情報 演劇制作体V-NET「」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    タイトル「進」でテーマが「卒業」…そういうコトかと納得。根底には生・死があり、それを乗り越えて力強く生きろ といった人生応援譚。
    猿組「猿組式 雪女」、大和企画「実家で不幸がありまして」の2作品。勿論テイストは異なるが、両作品に共通しているのは人生の滋味。若者を通して描いているところに 優しさ、温かさが滲み出る。

    演劇制作体V-NET公演であるが、今回はどちらが面白いか勝敗を決めるガチンコバトルではなく 投票もない。しかし演劇レベルは高く観応え十分だ。
    (上演時間2時間 休憩兼転換10分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、照明の位置(中央階段奥)が若干違うぐらいで、ほぼ同じ。中央に階段を設えたドーム型の出入り口があるだけの素舞台。

    ●猿組「猿組式 雪女」
    小泉八雲「雪女」の後日談といった物語…雪女と巳之吉は愛し合い子を授かる。しかし13年前 子の佐吉を残して家を出る。その佐吉も気立てが好く優しい大人に成長した。雪女は、妖怪の長である ぬらりひょん によって幽閉されていたが、ひっそりと人里へ帰ってきた。母の愛情と子の思慕が情感豊かに紡がれる。母(雪の化身)の最期、息子と手を取り合っているシーンは、蒸気が立ち上るような照明で昇華する。

    妖怪と妖怪退治屋のスピードと迫力あるアクション・殺陣が見どころ。妖怪の出で立ちも妖しく奇異な感じが出ており、独特の雰囲気を表す。特に 尾山ねこ さん(雪女)は白地着物で冷気と妖艶さを漂わす。

    少し気になったのは、ぬらりひょん が妖怪の長であるにも関わらず、座敷童子の妖力と同レベルなのか。また、ぬらりひょんが人里に近づくのを禁じていたのに、ラストでは自ら掟を破り人里を散策するような。何となく雪女は自分の娘で、その息子(孫)の佐吉を見守るためか、と勝手な想像をしてしまう。

    ●大和企画「実家で不幸がありまして」
    売れっ子作家の有名作品を上演することになった劇団の危機的状況をどう脱するか。作家とその作品だけで もう公演は成功間違いなしと高を括ったか。作家に稽古を見てもらったが、ダメ出しされ咄嗟に劇団員が「実家で不幸がありまして」と嘘をつく。3日間の演出変更の猶予を得るが…。

    実は演出家は父が亡くなり、遺品の整理をしに実家へ帰った時に見つけたのが、自分の作品のDVDやパンフレット類。父が一番のファンであったことを知る。亡くなって初めて知る親(父)の思い。
    因みに作家のダメ出しはそこか と笑える。

    気になるのが、ベテラン演出家が劇団(演劇界)を辞めた理由、劇団よりも大事なことができたから。プロデューサーとの会話で、子供が生まれ5歳の誕生日を迎えると。翻って、後輩(現在)演出家の亡父エピソードから、演劇だけでは生活していくことが難しい(悲哀)?ベテラン演出家の子が大人になった時、自分のせいで演劇を止めたことを知ったら、と余計なことを想像してしまう。

    ●共通・まとめ
    両作品とも照明効果が巧い。それによって情景の変化にメリハリがみえる。
    さて、テーマ「卒業」…親子関係、そして親の死によって初めて自立(卒業)し、同時に新たな出発(進)へ。親の死を乗り越えて逞しく生きる、を描いた珠玉作。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/05/26 10:36

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  • タッキー様
    「進」ご観劇いただきありがとうございます!
    両チーム共ご感想もいただけて嬉しいです!

    2023/05/26 14:49

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