実演鑑賞
満足度★★★★★
前半に第一部、第二部を観た。コンディションに恵まれなかった第一部はもう一度観たいな。
以前読んだ戯曲に関する本に、「叙事詩劇」の優れた作品と紹介されていた。題名は覚えておらず、作者名を見てハッと思い出し、レビューにも背中を押され観劇。上記の本を後で読み返して見ると、さほど字数は割かれず、書いてある事は作品を観た後ではピンと来なかった(戯曲がどう優れているかの説明が晦渋)。
しかし一部、二部それぞれ3時間を超えるこの大作が、20世紀後半に書かれた代表的な作品と紹介されていても何ら異議はない。
「死に至る病」であるエイズを扱った作品と言えば「RENT」がよぎったが、この戯曲で扱われる出来事や事実、状況は全て俯瞰され、対象化され、人生や世界を構成する一要素に過ぎないように見えて来る。登場する天使や天界の博士たち、自分たちの先祖に当る人物らが織りなす不可思議の絵は、苦悩する登場人物の内的世界を象徴するかに見え、同時に世界そのものの視野に導く。詩的な台詞がこの構図にずっしりとした中身を与える。(あんこたっぷりな鯛焼き、でも甘さ控えめサッパリで重くない。)
休憩二回で殆ど疲れさせない面白さ。作品の魅力などうまく説明できない。トニー賞とピューリッツァ賞を獲った作品なだけはある、と書いて済ませるが早いかも知れぬ。