綿子はもつれる 公演情報 劇団た組「綿子はもつれる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    舞台は四分円。豪華なアコーディオン・カーテンが寝室と客間を仕切る。爆竹花火のような、ビニールに叩き付ける豪雨のような効果音の炸裂と共に時空間が切り替わる。

    ある壊れた家庭の人間模様、様々な感情に揺れ動くコップの水。自分でもどうしたらいいか誰にも判らないまま、ただ揺れ続けている。

    ホテルでは永遠の美少女、安達祐実さんと不倫相手の鈴木勝大(かつひろ)氏。自宅では夫の平原テツ氏、継子の高校生の息子、田村健太郎氏。息子の友達、秋元龍太朗氏と天野はなさん。鈴木勝大氏の妻、佐藤ケイさんも登場。

    表現が不器用な平原テツ氏が安達祐実さんのふくらはぎをマッサージするシーンが秀逸。韓国映画っぽい。
    二人のイライラする掛け合いは流石。もう定番。

    田村健太郎氏の両親とのシーンにおけるチック症が見事。そして対比しての同級生とのシーンの開放感。食ってるものがやたら美味そう。

    個人的MVPは天野はなさん。すっぴんの彼女の魅力に溢れている。加藤拓也氏は良い仕事をした。誰もが昔好きだったあの娘のことを胸の鈍い痛みと共に想い出すようなキャラ。第十一回公演『百瀬、こっちを向いて。/小梅が通る』の2本立てのテイスト。こういうものの描き方がずば抜けている。大林宣彦だったかが石田ひかりと吉岡秀隆で綴った初体験の鈍い記憶のシーンを想起。(付き合えずに妄想で終わった方が、らしかった)。

    上手く説明出来ないけれど人に勧めたくなる作品。

    ネタバレBOX

    平原テツ氏は私立大学の講師。別れた前妻との間に連れ子の息子がいる。後妻の安達祐実さんは前妻との息子に気兼ねして子作りを諦めた。しかし平原テツ氏が別れた前妻と浮気をしていたことが発覚。夫婦仲は冷え切り、家庭内別居の暮らし。安達祐実さんはかつてパーティーで知り合った既婚の男とW不倫。しかし、その男はホテルから出た所で事故に遭い亡くなる。平原テツ氏は夫婦仲の再生に力を注ぐが、安達祐実さんの財布に大切に仕舞ってあった指輪を見付けて激昂。不倫を認める安達祐実さんだったが、既に相手は亡くなっている。彼のことを想い出し泣きじゃくり過呼吸に。やり場のない怒りの拳をどうしたらいいのか判らないまま、安達祐実さんの介抱をする平原テツ氏。「別れたいわけじゃないんだ」。

    平原テツ氏の「その変な泣き方をやめろ!」が名台詞。トッド・ソロンズの『ハピネス』を連想させる、一体これ何の話なのか?が炸裂。いや、まだ話は何も始まっちゃいないんだよ。

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    2023/05/17 23:27

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