糸地獄 公演情報 劇団うつり座「糸地獄」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    滅茶苦茶面白い。押井守『イノセンス』とか、りんたろう『迷宮物語』の感覚。合法ドラッグを決めて集合的無意識、そして自らの深層心理にダイヴ。そこは日本人が共有する戦前田舎の紡績工場のイメージ。親に売られた娘達は昼は糸を紡ぎ、夜は自身の色を紡ぐ。
    亀戸にある工場、月のない夜、海から上がって来たずぶ濡れの繭(青木恵さん)は東京湾から上陸して来たようだ。記憶を失くした繭は本能だけで『家』を探す。

    天井から垂れ下がった何本もの赤い太縄。糸屋主人の縄(柘植英樹氏)はSMの緊縛師を思わせる佇まい。その太縄と淫靡に絡み合う女達のエロスが噎せ返るように立ち込める。女達が寝話に語るそれぞれの身の上話。梅の花の入墨を入れる梅(yokoさん)が印象に残った。

    「さやりひゅう」。淫らな秋風が体を駆け抜けてゆくとき、老いさらばえた皺くちゃの女は自らの肉体に涙ぐむ。「さやりひゅう」。
    女性のカルマをリアルに女優達が顕現。この布陣でないと表現出来なかったであろう世界観。

    見事な演出、見事な美術、篠本賢一氏にリスペクト。

    ネタバレBOX

    「吹いてよ、風!」
    風とは『希望』であり、生命を突き動かす奔流のこと。その風を細胞中に感じて、人間は自身を闇から解放する。時にはそれは悪い方向にも行くだろう。歳を取るとそんな風をふっと逃がす方法も身に付けるそうだ。必ず希望はある。きっと良いことがある。全ては上手くいく。

    岸田理生(りお)と言えば『1999年の夏休み』、深津絵里デビュー作の傑作の脚本。未だに衝撃を憶えている。

    後半、からくり人形めいた身の上話辺りから自分的には失速。家とか父とか母とかのテーマになっていくと何かしっくり来ない。『身毒丸』を初めて観た時もそんな感じになった。皮膚感覚として自分には欠けているのかも知れない。血の糸で紡がれた家系図に宙吊りにされた自分。

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    2023/05/14 09:46

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