あたらしい朝 公演情報 うさぎストライプ「あたらしい朝」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    かなり面白い。
    清水緑さんと木村巴秋氏の夫婦がピンクの車で山道を走っている。誰も通らないような山奥で『羽田空港』行きのボードを掲げているヒッチハイカーの北川莉那さん、何故か中世のペスト医師の『くちばしマスク』姿。それが可笑しくて何度も何度もUターンしてそこを通る二人。到頭乗せる羽目になる。車の中で盛り上がる話題。何処か遠くへ旅行に行きたい気分。

    木村巴秋氏は宮藤官九郎風味のもう中学生。矢鱈ハイテンションで明るい。
    清水緑さんは扱いがムズい情緒不安定女子。
    北川莉那さんの態度の悪さが笑えた。チュッパチャップス。

    デヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』や筒井康隆の『夢の木坂分岐点』を思わせる作風。新婚旅行の思い出や病死した母親と行けなかった旅行。鯖にあたって死んだ男のエピソードの断片や『あいのり』風のラブワゴンでの旅。ベトナムのメコン川、ヴェネツィアの墓地であるサン・ミケーレ島。『地獄の黙示録』のように記憶の川を遡上し、『ベニスに死す』のように耽美的な終焉へと。曖昧な記憶と想像と妄想とが何処までも彷徨い続けていく。つげ義春だよなあ。

    途中、哀しみが足りなく感じていたが、一曲の唄で作品を決定付けてみせた。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    客入れSEが坂本慎太郎(元ゆらゆら帝国)。レトロ風味な山下達郎っぽい。
    飛行機内でバスガイド風CA、小瀧万梨子さんの歌う昭和歌謡も良かった。選曲のセンスが良い。小瀧万梨子さんが時折ケリー・チャンに見えた。
    何と言っても金澤昭氏がギターを弾きながら歌う「オリオンビールの唄」(たまの柳原幼一郎の名曲)。菊池佳南(かなみ)さんのコーラスも効いている。
    「野原が僕を呼んでいる パリも水(見ず)に沈んでく」
    余談だがたまは柳原幼一郎(現・陽一郎)に注目が行きがちだが、アルバムを繰り返し聴いているとベースの滝本晃司の才能に驚くこととなる。「むし」「丘の上」「星を食べる」「あくびの途中で」などなど。
    ラストはゆらゆら帝国の「EVIL CAR」で決める。

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    2023/05/07 21:46

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