オリニフレテ。 公演情報 インプロカンパニーPlatform「オリニフレテ。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    久し振りのインプロ、Platformの公演は8割が即興で2割が台本だという。上演前に当日パンフと「タイトルカード」というお題を書く紙が配付される。そこに任意の3文字と10文字の台詞を書いてスタッフに渡す。それがランダムに劇中で読み上げられることがある と。

    上演前からスーツ姿の男2人がオセロに興じている。この2人が上演前・劇中の案内役的な役割で、物語の展開や結果を左右する上で重要な選択を観客に促す。二人は交互に「・・とは言え」と相手の説明を遮り自説を述べ、その賛意を観客の拍手の多さで決める。台本なき即興こそが醍醐味であるが、それを劇中の都度都度で行うから物語へ集中出来ない。2人の男の言い分を観客に選択させることは、意地悪な見方をすれば、どちらかへ誘導し 結末の違う(大意ある)台本を用意することも可能ではないだろうか。

    公演の魅力は、檻の中にいる囚人の犯行に至る経緯について、情状酌量の余地があるのか否かを心情豊に描いているところ。観たのが女囚編であることから 女が男を殺害したという設定であるが、女囚5人 それぞれの心の叫びが聞こえるような物語。犯行という事実は否定できないが、その情況への赦しがあるのかを問う。「檻」とは心の囚われであり、その状況から逃げられない不自由さを描いている。それは台本の力であり、観客の選択と言葉の影響外にあるような。
    (上演時間1時間30分 途中休憩なし)【女囚編】

    ネタバレBOX

    素舞台…壁に花が正 逆に描かれている。チラシにある「罰と赦しは表裏一体」で見方・考え方の違いで結論は異なるを表しているようだ。女囚は上着だけ赤黒の横縞模様で統一しており、なぜか看守はミニスカート制服だ。全体的に 敢えてビジュアル的に観(魅)せるを意識した衣裳になっている。

    物語は女囚達が夫々の事情で男を殺し、檻に入れられている。記憶喪失の新入り女囚が夜な夜な聞く不思議な話声…自分以外の女囚の過去の出来事を回想する男2人。それが案内役的な男、カンダとテンジクである。2人は女囚一人ずつの情況について自説を展開するが、物語が寸断され煩わしい感じがするのが憾み(頻繁なのは 即興を標榜しているためか?)。個人的には、記憶喪失の女囚以外(4人)については、ある程度まとめて自説を展開し、観客の賛意<選択>を求めてほしいところ。記憶消失の女囚とそれ以外の女囚という 物語の大きな流れの結末において アッと言わせるような印象に残る即興劇が好み。

    即興で変化するポイントは、①奇妙な刑務所「ロフトランプ」で一番初めに親しくなる女囚、②殺意の引き金になった場所を観客の意向(本編前の「壁の花と蝶」と「タイトルカード」)で決まるようだが、インプロ要素としての影響度は分からない。むしろ女囚編ではラストに歌を披露するが、その歌詞に「タイトルカード」からのお題を盛り込む。その言葉が珍妙であればあるほど面白可笑しくなる。その言葉(歌詞)によって、歌の雰囲気が違うという楽しみがある。因みに音響は、情景にあわせてピアノの音や鳥の鳴き声が聞こえる。

    女囚が犯行に至った動機を寸劇<回想>風に描いているが、その設定が妙で物語としては面白い。これが逆バージョン(男囚編)になると どのような観せ方になるのか興味がわく。観点の違い+インプロという予測不可能な面白さ、そこに この劇団の魅力があるのだろう。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2023/05/05 07:58

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