実演鑑賞
満足度★★★★★
久々のゆうめい観劇。最初に観たのが数年前下北演劇祭の若手をピックアップする下北ウェーブに登場した1時間作品「弟兄」。自伝的要素があり一発屋な感じも持ったのだがその後尽きる事なく作品を出し、「イタイ」世界を構築する。見逃し多くそれでも今回4作目、芸劇での公演、出演陣もちょっと気合の入った面々という事で気になっていたが、当日たまたま時間が出来たので運よく観劇したら、秀逸。中央にドカンと高い岩場のような装置があってこれが一軒の建物で、下手側の階段を上って玄関、待合室、カウンターバー、奥が居間と段々低くなる感じで、具象が多い割に戸をエアでやってたり、プチ変則な約束事をちりばめた奇妙演出が、独特な端折りで話が進む(後に勿論つながる)進み具合も、場面単独のディテイルのリアリティで見せてしまう。
終盤「音楽」でクライマックスは以前の作と重なり、持ち味。そこはズルいが、見事に嵌まっていた。(作者の熱い部分は台詞でなく歌とか、そういうのに代弁させたいタイプ?) 殺伐とした現代の風景を基調に、その底流に通う人間の血の温度を、その可能性を見せる。「ハートランド」の字体がよく見るとホラー系。ディストピアでの人間の棲息風景、にも見える。