実演鑑賞
満足度★★★★
箱庭円舞曲は多分10年近く前、711だったかアゴラだったかで観た。震災が尾を引いていた時期の、災害にまつわる話だったが書き手の古川氏には発展途上な劇作家のイメージ。"やり手"(作為か天然か悟らせぬ)という印象の白勢未生が入団しその点でも注目していたが機会を逃してこの度久々「二度目」の観劇となった。
構成に難解さがあるのは恐らくこの劇団の特徴、書き手の指向。役者の技量が細かな演出(指定)に応えて、繋がりの判らない前半を乗り越えさせ、禁欲的な叙述の雫が後半になってようやくグラスの表面張力を破ってじわっと流れ落ちる感触で、ドラマの要素が浮上し、全体図が霧の向こうに見える感じで見えて来る。
物語自体も自分は面白く観たが、それ以上に芝居を通じて溢れ出て来る、時代を生きる感覚のようなものに共鳴させるものがある。