今宵 片眼は死に場所を探す 公演情報 Island「今宵 片眼は死に場所を探す」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    ちょっと盛り過ぎてしまったような…。
    呪われた王家の血筋と禁断の愛を、過去と未来を交錯させながら描く話。
    アングラ演劇風のエモーショナルな喜怒哀楽表現を基調とするキャラクターや、現代風の若者言葉を多用した自虐的でコミカルなキャラクターたちが、余所者と内側で暮らす人々の差異を示すようで刺激的だったが、場面説明をするセリフが多かったためか、エキゾチックなイメージを持つというところまでは喚起されず。全体的にスローテンポで話が進んでいくことも気になってしまった。130分。

    ネタバレBOX

    全てが占いに支配される国家とHPには書かれているが、むしろ描かれるのは、占いを信望している、ある王家に脈々と受け継がれる奇妙な因縁の血縁関係であり、陰謀は国家レヴェルで行われるプロパガンダ的な事情ではなく、ある者がある者に対する歪んだ愛憎という形で提示される。

    上流階級の家には、お付きの占い師がいるという習慣がこの国にはあるらしい。それはファオラ家でも例外でなく、ラウという高名な占い師を雇っていた。
    ラウはこの家に住む、シャオラという美しい家主が好きなのだが、シャオラにはメイリンとメイシャンという双子の子どもがいる。双子が厭わしいラウは、
    「この家には呪われた双子がおり、ひとりはもうすぐ死ぬだろう。」とでっちあげ、自暴自棄になった双子の兄、メイシャンは毒薬を飲んで自殺。
    残ったメイリンも正気をなくし、後追い自殺をするために毒薬に手を伸ばす…。

    ファオラ家の召使や、シャオラ、シャオラの弟やその奥さんやらが慌てふためく頃、高名な占い師であり公安の人間でもあるウーフェンが、ラウを逮捕するために、ファオラ家に乗り込んでくる&タオも一緒に乗り込んでくる。驚くシャオラ。
    何故なら双子の兄妹であるシャオラとタオは14年前、ラウの占いの結果によって生き別れ、タオは死んだはずなのだった…。

    ふたりの感動の再会を目にし、腹を立てたラウはファオラを人質にとり、ファオラの首筋にナイフをあてる。そして襲いかかってくるウーフェンに対しナイフを振りかざし、ついでに(?)タオを刺す。

    一方、ファオラ家の召使アンジゥは自分のお腹のなかには、メイシャンと交わった子どもがいると告白。毒薬を口にしたメイリンが、その後口にしたのは解毒剤だったのか、そうではなかったのか、シャオラの弟と弟の奥さん(医者)は揉めるが結局ウヤムヤになる。

    最後、意識が遠のくタオとシャオラが闇のなかで抱き合うシーンは美しく幻想的だった。

    あと、かなり省略して書いてしまったが、物語の半分くらいはワンとその仲間たち、途中参加するタオとの珍道中だったり、14年前のファラオ家を回想をしたりするけれども、ワンと仲間たちは非常にコミカルなキャラクターで回想シーンにもしっかりツッコミを入れるため、非常にテンポがスロウリィ…。終盤は驚くほどの速さで話が展開するが、ちょっと急ぎ過ぎてしまったかな、という感じも・・・。もしも前半からサスペンスフルなタッチを意識してタイトに進めていたならば、かなり印象が違っていたようにおもう。

    また、国家レベルの陰謀については最後のほうにちょこちょこっとそれらしい言葉が出て来たが、国家繁栄=子孫繁栄などという関係性がなかったため、ちょっと後付け感があり…。いっそのこと、陰謀か、愛情かどちらかひとつに的を絞り、双子をモチーフとしてとり込むと、ボリューム感は減るものの、各々の心理描写にあてる時間配分を増量せざるを得ない状況に陥るはず。

    最後にもう一点。意味深な公演タイトルはとても好きだったのだが、片目=義眼=眼帯だったのは、なんだかちょっと勿体ない気がした。

    2

    2010/05/16 08:07

    0

    0

  • 「観てきた!」書き込みありがとうございます!
    細部まで丁寧なを感想いただき大変にありがたいです。
    確かに執筆時点で欲張った感が多々あるかもしれないです。
    今後の参考にさせていただきます!

    ご来場ありがとうございました!

    2010/06/01 10:59

    ご返信が遅くなりまして申し訳ありません。

    ご来場&コメント、ありがとうございました。
    とても丁寧なあらすじまで添えていただき、
    しっかりと観て頂いたのだなと、うれしく思います。

    ストーリーの構成へのご指摘(タイトルのひねりも含め)、
    とても参考になりました。
    今後に生かして、より良い作品を作っていきたいと思います!

    ありがとうございました。

    2010/05/20 12:44

このページのQRコードです。

拡大