『革命日記』 公演情報 青年団「『革命日記』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    観逃さなくて良かった!
    「個と集団」「組織におけるプライバシー」の問題が革命活動家たちを通して描かれている。
    社会問題を平田オリザならではの自然な会話、人物配置の巧みさで見せる。
    私が平日昼にこまばアゴラに来ることは珍しい。週末より観客の年齢層は高めだが、常連客らしい中高年女性グループのけたたましく甲高い笑い声が響きわたり(笑っているのはその一角だけ)、劇の雰囲気を壊してしまうのがとても気になった。笑うのはご自由だけれど、もう少しトーンを抑えていただけないものか。
    爆笑漫才を聴きにきたわけではないので鼻白んでしまう。

    ネタバレBOX

    配役表が、革命家、元革命家、隣人、組織のシンパの4つに分かれている。この4つの立場の人たちが劇の中で交錯することによって、社会における「組織」や「生活共同体」の性格が浮き彫りにされていくのが見事だった。
    「空港」と「大使館」の2つの襲撃計画を企て、アジトの増田家に集う革命家たちのもとを町内会に代わる市の街づくり委員会の人々や、組織の非合法の部分を知らないシンパの人々が訪れ、そこで「小さな組織での一般的な社会活動」についてのかかわり方が語られ、革命家たちとの対比がなされる点が興味深い。
    「組織におけるプライバシー」は、男女関係で語られる。革命や宗教など、ストイックな目的の組織においても、異性関係はついて回る問題。連合赤軍の浅間山荘事件の騒動が落着した際に大きく報道されたのは、彼らの目的である革命思想ではなく、永田洋子を中心とする仲間同士のドロドロの男女関係の話題だったし、オウムでも教祖や教団幹部を取り巻く男女関係が面白おかしく報道された。北朝鮮に渡ったよど号ハイジャックメンバーも、拉致問題がクローズアップされた際、当時の活動家同士の複雑な夫婦関係が報道された。
    ここでも、実働部隊と後方支援組の心情的対立に絡み、桜井(佐藤誠)と立花(鄭亜美)の恋愛や、増田夫妻(海津忠・中村真生)と千葉(長野海)の三角関係をめぐって激しい口論になる。革命思想の中に女性の嫉妬や反発が加わって感情的にエスカレートし、男たちを当惑させる。
    連合赤軍の中でも男女関係をめぐるいざこざが集団リンチの過熱要因のひとつになっていたと聞いている。
    組織も人間の集まりゆえ内包するもろさや綻びの描き方が巧い。
    もうひとつは家族の問題。息子のシュンスケをアトピーを理由に田舎の実家に預けている増田典子を妹の田中晴美(小林亮子)が訪ねてくる。「たまには顔出してやってよ。お母さんも気にしてるし」と。この姉妹は共に革命家と知り合って結婚した。晴美・英夫夫妻は活動から抜けたが、夫婦仲はうまくいっていない。
    あとから1人で夫の田中英夫(河村竜也)が武雄に話があると訪ねてくる。終盤、革命家の篠田(佐山和泉)は会合に現れなかった島崎に刺されたらしく重傷という知らせが届き、騒然となる。英夫がシュンスケの学芸会の様子を典子に語ったとき、典子が「お父さんに似たのかしら。学生時代、映画とか作ってたんでしょう?」と英夫に聞き、「うん、まあね」と答えるところで、シュンスケの父親は増田武雄ではなく、英夫では?という暗示がなされる。また、シンパの山際に連れられてやってきた柳田由佳(木引優子)が実は活動中交通事故で亡くなった革命家の妹で、父親は亡くなるまで、姉は事故ではなく殺されたと思い込んでいたことがわかる。
    俳優では革命家のリーダー格の佐々木役の近藤強、商社マン山際役の畑中友仁、委員会の坂下役・能島瑞穂がいかにもそれらしい人物像を演じ、印象に残った。NPO経験があり、ボランティア活動に熱心な坂下が、やはり「組織的」な持論を展開するあたりが面白かった。
    舞台美術のインテリアのセンスがよく、赤い壁、白い棚の内側の赤い部分やマトリョーシカにスポット照明が当たり、赤が強調され、全体が「革命」を表現しているようで、記憶に残る。

    6

    2010/05/12 22:15

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  • tetorapackさま

    すみません。自分の脱字訂正の再投稿です。前稿は削除しました。

    >私は、基本的にノーメモで観劇しますので、この作品についても、ここまでの把握ができませんでしたね。いやー、私がネタバレ書いていたら、恥ずかしいことになっていました(笑)。でも、結果として、書かないで正解でした。

    いえ、私ももちろんノーメモで書いてますよ。目が悪いし、いちいちメモなんかとって観ない(笑)。いつも記憶と配役表照合で書いてるだけです。だから、後悔も多いのです。先日の東京演劇集団風は国名がたくさん出てきたので、例外的に国名のみメモしたけど。

    >この比較が全体テーマとしての「個と集団」を共有しながら、「集団」の限界性というもの、とりわけ時代の潮流に合わせて革命も昔のように「個」の尊厳を一切認めないということはなくなってきている、なんて言葉がでてくるような展開では、個人のプライバシー(主に男女関係)で発せられる摩擦音のような音が徐々に物語の進行と共に増してくる中で、この集団の限界性が鮮やかに浮かび上がっていたのが見事でしたね。

    そう、佐々木なんかが「いまは昔と違うんだからさ」と言いつつ、連合赤軍と同じように男女問題でギクシャクしてくる皮肉ですね。

    >さて、小坂が大使館に勤務しているかどうか、これについては私も分かりません。というか、私はどちらであるかよりも、むしろ、「自分の受け持ちはしっかり対処しているので大丈夫なのよ」という彼女の自信なり自尊心の強い性格なりを表現した部分の台詞であるということで理解していました。

    わたしも、そう理解して聞いていました。でも、やけに洗練された美女なので、ふと、大使館勤務なのかな、と。ああいうタイプの日本女性の知人が某大使館にいたので(笑)。


    >そして、付け加えるなら、計画性については、この連中、議論や相手を説得し論破するだけの論客ぶりに比べ、その計画力や透徹した客観的な把握力について幼稚であり、あんまりたいしたことない。そのアンバランスが、個と集団という不安定なバランスと共にリアルに描かれていた点が、この物語の、可笑しさに満ちた個とが飛び交う中にも、その底流には海の底の静かなうねりにも似た緊張感が交互に感じ取れるところが優れていると感じた次第です。

    あ、すばらしい解説ありがとうございました。作戦説明のところ、アニメみたいに情景がアタマに浮かんだんだけど、何か、けっこうショボイ作戦かも、とおかしくなってきちゃって、内心、クスリでした(笑)。

    2010/05/13 16:13

    きゃるさん

    早速、返信どうもです。
    えーと、職場で急いで打っているもので、ずいぶん、誤字がバシバシあってごめんなさい。なので、追加訂正したモノを送ったのですが、その前のものを削除する前の段階で返信いただいちゃって。凄い速さ(笑)。よかったら、訂正版も覗いてください。もちろん言いたいことは変わらないですが(笑)。

     ああ、あと2つ、「観てきた!」を打たないと。ふー。ちなみにJACKROWの「 「北と東の狭間」と、津田記念日の「エレベーター音楽」です。ふー。

    2010/05/13 15:28

    きゃるさん

     いよいよ本題についてです。いやー、びっくりしました。私なんぞの、軽い物語ネタバレ説明を書かなくてよかったぁ。それにしても、きゃるさんのこのネタバレ説明、す、すごい!感服しました。

     私は、基本的にノーメモで観劇しますので、この作品についても、ここまでの把握ができませんでしたね。いやー、私がネタバレ書いていたら、恥ずかしいことになっていました(笑)。でも、結果として、書かないで正解でした。

    >「空港」と「大使館」の2つの襲撃計画を企て、アジトの増田家に集う革命家たちのもとを町内会に代わる市の街づくり委員会の人々や、組織の非合法の部分を知らないシンパの人々が訪れ、そこで「小さな組織での一般的な社会活動」についてのかかわり方が語られ、革命家たちとの対比がなされる点が興味深い。

     その通りですね。この比較が全体テーマとしての「個と集団」を共有しながら、「集団」の限界性というもの、とりわけ時代の潮流に合わせて革命も昔のように「個」の尊厳を一切認めないということはなくなってきている、なんて言葉が出てくるような展開では、個人のプライバシー(主に男女関係)に関して発せられる摩擦音のような音が徐々に物語の進行と共に増幅してくる中で、この集団の限界性が鮮やかに浮かび上がっていたのが見事でした。私はそう感じました。

    >英夫がシュンスケの学芸会の様子を典子に語ったとき、典子が「お父さんに似たのかしら。学生時代、映画とか作ってたんでしょう?」と英夫に聞き、「うん、まあね」と答えるところで、シュンスケの父親は増田武雄ではなく、英夫では?という暗示がなされる。

     そうですね。鋭い洞察力ですね。私なんぞ、このシーンは、しばらくして、あれ、もしかしたら、なんて同じことを考えた「脳天気」です。でも、典子の台詞の後に英夫が最後に「たまには、(シュンスケに)会いに来いよ」のあの一言の言いぶりが義理の弟というより、ともにシュンスケの親(シュンスケの父親として、母親に対しての言い方)としての言いぶりだったので、私もそう思いました。

     私の方への下記の部分ですが、
    >小坂役の斉藤晴香さんが舞台のクール・ビューティーとはうってかわって、とても明るく感じのよいかたで、「ワー、観てくださったんですね。嬉しい。ハイ、なんでしょう?」と応じてくださり、話すうちに斉藤さん自身の劇中の疑問も解消したようで、お互いによかったです(笑)。
    帰宅して、「斉藤さん、とても感じよかったのよー」を連発したせいか、夫が「今後、注目して観ます!斉藤さんですね!」って(笑)。
    肝心の斉藤さんに確かめるの忘れたけど、劇中「大使館のほうは大丈夫」と言ってるから、小坂は大使館に勤務してるという設定なんでしょうか?tetoraさま、教えてください(笑)。

     クール・ビューティーですか。上手い表現ですね。はい、斉藤さんは何回か公演で観ていますが、彼女としては斬新な役柄で今回は台詞ごとのメリハリの付け方が実に決まっていましたね。迫力がありました。私は鄭さんの方が印象に残っちゃったけど(笑)。まあ、この辺の層の厚さ、若手が皆、実力を身に付けているところが青年の安定感と凄さです。並みの劇団とは大違いです。

     さて、小坂が大使館に勤務しているかどうか、これについては私も分かりません。というか、私はどちらにせよ、彼女がそういう情報が手に入る立場にいたか、その情報源を持っていたというくらいで捉えていました。それよりも、むしろ、「自分の受け持ちはしっかり対処しているので大丈夫なのよ」という彼女の「自信」なり「自尊心の強い性格」なりを表現した部分の核の台詞であるということで理解していました。そして、付け加えるなら、彼らの計画性については、この連中、議論や相手を説得し論破するだけの論客ぶりに比べ、肝心の計画力や透徹した客観的な把握力について幼稚であり、あんまりたいしたことない。事実、肝心の管制塔奪取の前段階で海を数百メートルも装備を付けて泳いで渡るとか、そのアンバランスさが、個と集団という不安定なバランスと共にリアルに描かれていた点が、この物語の、可笑しさに満ちた言葉が飛び交う中にも、その底流には海の底の静かなうねりにも似た緊張感が交互に感じ取れるという個と集団のアンバランスの具象化が優れていると感じた次第です。
     答えになっていなくて済みませんが、そういう大枠的な、というか、流れ的な見方で、私はこの物語を捉えていました。

     それにしても、本作は前回2008年のアトリエ春風舎での初演では、オリザ氏自身もびっくりの
    大人気を誇り、二度の追加公演(計3ステージ)を重ね、アトリエ春風舎史上、最高の観客動員を記録した作品なんです。だから、これだけ早くの再演になったんでしょうね。今回もチケット取れない人がかなり出ているそうで、追加公演が決まってますよね。きゃるさんのレビューの表題通り、本当に「観逃さなくて良かった!」です、はい。

     重ねて、きゃるさんの詳細なネタバレを読んで、私も頭の整理に役立たせていただきました。感謝です。

    2010/05/13 15:15

    きゃるさん

    >あの中にCoRichユーザーがいたら気を悪くされるかも・・・と思ったけど、思い切って書かせていただきました。場内大爆笑という芝居ならかまわないんですが、ね。

     私もまったく同じ考えでした。でも、こういうことも読んで欲しいとの気持ちもあり、私もあえて触れさせていただいた次第です。
     おっしゃるとおり、その場の空気というのがありますよね。場内大爆笑というコメディ芝居なら、まったく構いません。でも、彼の大笑いは明らかに全体の空気を汚すし、他の方に迷惑ですので。

    >わたしの真後ろだったので、耳元でビンビン響くのよ。

     それは、それは。ということは、きゃるさんは下手ブロックの中段くらいということかな。私も下手ブロックの前の方にいたので、振り向いた厳しい視線の一人は私だったかも知れません。でも、あのグループのお方たちは特定できていますので、ご安心を(私が退席する際も、あの独特の大きな声でお仲間とおしゃべりしていたので)。

     まあ、これくらいにしておきます。さて、私の方にもコメント頂き、ありがとうございます。それについては、そちらで。

     ありがとうございました。

    2010/05/13 14:02

    tetorapackさま

    コメント、どうもです(笑)。

    >あまりに気になるので、私も、その方向を見ました(本当は睨みつけたかった)。また、私の周りの方の何人かもその方向へ振り向いていました。でも、止めない。すごい根性?です。

     まことに睨み付けたかった(笑)。人さまのことだし、あの中にCoRichユーザーがいたら気を悪くされるかも・・・と思ったけど、思い切って書かせていただきました。場内大爆笑という芝居ならかまわないんですが、ね。

    >たしかに中高年女性グループでしたが、大声を出していたのは、お一人だけでしたので、そういう場合、仲間の方が「ちょっと、あんた…」とか言って注意しないのでしょうか? それも唖然とさせられました。

    いえいえ、グループは3人なのですが、声を出していたのは2人ですよ。最初に1人が大声で笑い出したら、つられて横の1人も大声で笑い出したのです。注意するどころか3人で横っ腹をつつきあって楽しそうでしたよ。あのグループ、ときどき、こまばで見かけるし、特にけたたましいお1人は長年の青年団ファンのようですが、この劇団の性格を理解できないのでしょうか。わたしの真後ろだったので、耳元でビンビン響くのよ。前のほうの人が振り向かれると、何かわたしに視線が当たっちゃってるみたいで「私じゃないよー」って言いたかった(笑)。子供のころ、森光子と先代の中村勘三郎によるコメディー芝居を大人に混じって見た時、あんまりおかしくて大声で笑ってしまったことがあります。そのとき、母に注意され、家に帰ってからも「観劇にはマナーがあるのよ。劇場はお茶の間とは違うの。それにあそこは新宿コマの喜劇人まつりとは違う。周りの雰囲気を考えなさい。恥ずかしいの、なんのって・・・」とコンコンと説教されたことがあります。
    「大人たちだって笑ってたじゃない」と言うと「子供が悪目立ちするのはよくないわ」って。で、その日、テレビの中継カメラが入ってて、あとでTV見たら、わたしの声が入ってた。「あー・・・」って愕然(笑)。母が「ホラ、聞こえるでしょ。みっともない!」って冷たい視線。
    きのうの大人たちは、たぶん本当の意味での観劇経験が浅いんでしょうね。
    しかし・・・確かに面白いけど、あの面白さは酢コンブのようにじっくり噛んで自分の中で味わうもの。あれほど爆笑できるものなのか!(笑)

    2010/05/13 12:33

    きゃるさん

     ただ今、帰宅してシャワーを浴びて、パソコンにむかったところです。これから「革命日記」のレビューを書こうと思っていたところ、きゃるさんの「観てきた!」を発見。な、なんと私と同じ回だったんだと驚くやら、嬉しいやらで、とりあえず、コメントさせてもらいました。

     だって、日付が入っているし、マチネだし。それに、

    >常連客らしい中高年女性グループのけたたましく甲高い笑い声が響きわたり(笑っているのはその一角だけ)、劇の雰囲気を壊してしまうのがとても気になった。笑うのはご自由だけれど、もう少しトーンを抑えていただけないものか。

     の記述。いやー、まったくもって同感(というか、極めて当たり前のマナー上の問題)であり、胸がスッキリしたので、まず、書かせて頂きました。それにしても、私も閉口しましたです、はい。ああいった、俗に言う「オバサン」笑いには。
     あまりに気になるので、私も、その方向を見ました(本当は睨みつけたかった)。また、私の周りの方の何人かもその方向へ振り向いていました。でも、止めない。すごい根性?です。

     たしかに中高年女性グループでしたが、大声を出していたのは、お一人だけでしたので、そういう場合、仲間の方が「ちょっと、あんた…」とか言って注意しないのでしょうか? それも唖然とさせられました。

     ネタバレを開けたい気持ちを抑えて、これからビールを横に、自分のレビューを何とか短めに書きあげてから、じっくりとネタバレは拝見させて頂きますね。そのころに横にあるのは、ウイスキーになっていると思いますが(笑)。

     一言だけ。凄い芝居でしたね。さすが青年団の本領発揮と言った具合。私も☆は間違いなく5個です。

    2010/05/13 00:44

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