Mr. & Mrs. Habit 公演情報 劇団スクランブル「Mr. & Mrs. Habit」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    真意は何処へ。
    そこそこうまいことやっているようにしている風の建前と、相手に対する不満や不安を悟られまいとしてつく、小さな嘘のひとつやふたつくらいなんてことない!という開き直りにも似た本音を前提にして、そんな嘘をついていること自体、お互い見透かしていながらも、なしくずしの関係をつづけている倦怠期の恋人たちがすれ違う話。
    登場人物たちの内面を照明で表現する方法や軽快なBGMによって、物語の流れを作りだそうとする演出はスタイリッシュな雰囲気を醸し出していたのですが、キャラクターの描き方がちょっと一辺倒だったような・・・。

    ネタバレBOX

    舞台は、清潔感のある1ルームマンションの室内。
    同棲をはじめてから、かれこれ2年が過ぎた野江と木原。

    木原は野江と結婚を意識していて、プロポーズを待っているが、野江は結婚をしたいとは思っているものの、そのタイミングは今ではないと思っている。
    お互いの気持ちに微妙にすれ違っているふたりだが、別れるという選択肢はないようだ。

    居て当たり前の存在になっているのだろうか。その真意はわからない。
    そんなふたりには、お互いに知られたくないヒミツがある。
    それはふたりして、美味しくないと思っているピザをやせ我慢をして注文しつづけている、ということ。
    ふたりとも、お互いに対して「こんなモノのどこが美味いんだろう。」と疑問に感じていること。

    とても些細なことですれ違うふたりの内面を、赤と青の照明を使って、モノローグさせる演出方法はオシャレ感がある。BGMも自然に耳に入ってきて心地よく、ここまでの流れはほぼ完ぺきだったが、この後の物語の展開に難あり。なぜって、ふたりと同じサークルの仲間だった砂原と木原が実は浮気をしていた、というエピソードと、砂原の彼女である雨実と野江のフランクな言動が、ほぼ終盤まで続いたから・・・。

    同棲中の、マンネリ気味のふたりという設定は悪くないと思う。
    ふたりがすれ違うのもわかる。
    物語の展開も現実的にはよくありそうな話ではある。
    ただ、それが=リアルで結実するには、リアリズムへ昇華させるためには、ふたりの関係性を象徴とする何かが欠けていたように思えて手持無沙汰だった。それを補佐するものは、ラジオから流れるDJの声と場面をリンクさせるとか、スクランブル交差点の雑踏とか。そういう音であるはずだったとおもう。

    そして願わくば、互いを想いあっているからこそつく嘘、というものを、嘘をつく時のこころの痛みを、もっと丁寧に掘りさげてほしかった。木原と野江がマンネリ化しているとはいえ、お互いを好きあう気持ちがイマイチ伝わってこなかったから・・・。

    それから役者の動きや表情が全体的に固かったのも気になってしまった。
    相手の目をみて話すこと、相槌をうつこと、相手の欠点に目を瞑ること、笑顔で交すこと、大事です。

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    2010/05/10 06:11

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