日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『熱帯樹』 公演情報 世田谷パブリックシアター「日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『熱帯樹』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    大輪の花のような
    深紅の薔薇か、花粉まみれの百合か、とにかく大輪の花の匂いに噎せかえるような、濃密な時間だった。台詞の点が、集まって線となり、密度を増して、織り上がった面が迫ってくるような、勢いのある演出。
    上演すると、なんだかうごめく生きものみたいになるよね。三島由紀夫って。ライフワークのように三島作品を演じる"役者"さんは幾人かいらっしゃるけれど、作品全体を正しい充実感で満たせる"演出家"さんというのは、極めて少ないのではないだろうか。
    役者さんの中では特に久世星佳さんが、それこそ宝塚音楽学校のころから今に至るまで、ストイックに声と身体とドラマティックでゆたかな語彙を鍛えてこられたことが伺いしれる、すばらしい演技でした。

    ネタバレBOX

    作品とは直接関係ないけれど、この企画全体を観て思ったこと。
    たぶん『ドラマリーディング』と『朗読劇』と『台本を持った状態の立ち稽古』が、日本の俳優たちの体内で、まだ未分化であるのだ。それが演出の及ぶ範囲以外の、俳優の身体にダイレクトににじんでいるのを感じる。
    今後、そのへんの理論を自分で構築したうえで締め上げて作品をつくっていく演出家さんが増えて、リーディングがもっとおもしろくなるといいな。

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    2010/05/09 02:20

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