実演鑑賞
満足度★★★★
昨年初めて観た工藤俊作(kutoh)プロデュースの前作は、関西の3人の書き手(その一人内藤裕敬氏が構成演出担当)によるオムニバス。イベント的公演をやってるものと勝手なイメージがあったが意外に普通の芝居(と言うのも変だが)、ストレートプレイである。もっと意外なのは、劇団公演のような繊細な作品性があった。阪神淡路大震災と、その後にあったという(架空の?)震災が影を落とすある家族の時間を跨いだドラマ。後半、生者と死者の境界、時間の境界を超越した時空へ移行し(その瞬間は死んだはずの長男を姉弟が迎え入れ賑やかな会話が始まる事で明瞭に分かる)、その境界を超えた対話によって初めて出来事や関係性が明らかになる、というテキストである。