日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『熱帯樹』 公演情報 世田谷パブリックシアター「日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『熱帯樹』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    日本語を「読む」ということ
    「日本語を読む」
    という企画にばっちりドストライクな芝居。

    ネタバレBOX

    三島由紀夫の戯曲、聞いているとシェイクスピアを連想させられる。

    この『熱帯樹』は『ハムレット』と『マクベス』が見え隠れするようで、
    リーディングなのだけれどとてもダイナミック。
    ダイナミックかつ、繊細な世界観がなかなか心地よかった。

    今流行の現代口語による戯曲とはかけはなれた、
    セリフで聞かせる三島由紀夫の文体が、
    リーディングという形にピタリとはまっている。
    動きも最小限に絞ってあり、文字通り、
    まさに「日本語を読む」正統派リーディングだ。

    リーディングとなると難しいのは、どこまでやるか、じゃなかろうか。
    稽古を重ねるうちに役者は動きたくなってくるだろうし、
    演出家もきっとどんどん欲が出てくる。
    「リーディング」という形式を見失わずに上演にこぎつけるのは
    なかなか難しいことのように思う。

    その点、この『熱帯樹』は動きが邪魔になることなく、
    むしろ少ない動きを効果的にキメていたのが印象に残った。
    リーディングの背骨を「言葉」と「戯曲」に持ってくるのは、
    きっと簡単そうで一番難しい事だ。

    二人だけが共有する秘密、とか
    それが明るみに出ちゃう、とか
    そういうシーンがとてもセクシーに見えたのは、
    演出家・谷賢一がアフタートークで語った「H」が重要なんだろうな。

    どっぷり三島由紀夫の日本語を味わえたが、
    ちょっとセリフ早い感じがする、とか、
    ちょっとテンション高すぎでは…ってなシーンがあったように思えるのも事実。
    やはりリーディングってのは難しい。

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    2010/05/07 00:27

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