実演鑑賞
仲代達矢が一幕50分、休憩20分の後二幕30分、一人で、バリモアという老年のシェイクスピア役者の独白を演じる。設定としては、久しぶりに舞台に出るので、昔覚えた台詞を入れ直すのでプロンプター(影で表には出てこない)を呼んで、その彼とのやりとりというを設定になっている。
とにかく、90歳の仲代がみもの。さすが長年主役を張ってきただけのことはある。商業演劇系のスター役者だとこういうときには客への甘えが出てそれに頼ってしまうのだが、気張らずにこの落魄の老役者を飄々と演じる、とちりもなければ、動きもしっかりしていて、さすが新劇の役者である。それにつきる舞台で、内容はどうと言うことはない。これだけ出来るなら、もう少し難しいものをやってみてほしかったとも思うがそれは客の勝手な注文だろう。採点しては失礼になる。一時代を画した名優を生で見るのも、これが最後かもしれないと感慨がある。