パラデソ 公演情報 タカハ劇団「パラデソ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    チラシからは予想つかない
    チラシやWEBの宣伝なんかだと抽象的で「楽園」「天国」という文字が先行するイメージでした。
    今回の会場が「楽園」だからそこからヒントを得たタイトルなのかもしれないけど、会場に足を踏み入れたら全くイメージと異なる空間に入り込んでしまった、という別の世界がありました。
    しかも完成度というか雰囲気というか、もう完璧という美術。
    逆にどのような話が展開されるのかが全く分からなくなって混乱する開演前。
    でも始まってみると話は分かりやすく、役者陣の魅力に引き込まれてあっという間に終わる90分。
    「プール」以降は全部みていると思うけど、この「パラデソ」が個人的には一番好きです。

    ネタバレBOX

    会場は完全に居酒屋でした。
    開場時ずっとラジオが流れてます。
    劇中でも、このラジオが完全にタイミングを合わせて話に絡んでくるところが絶妙。

    で、店員らしき女性が出てきてしばらく椅子に座っていて。
    一度舞台からはけると電話が鳴り響いて、そこから芝居が開始だけど、何となく雰囲気的にKAKUTAを見ているような感じでした。

    父親が経営していて娘が手伝っているらしい居酒屋。
    もう時間も遅くて客もいないので締めようとしていた矢先に6名の喪服の一団の来客。
    かつての友人のお通夜に出席するために10年ぶりくらいに集まった彼ら、彼女ら。
    友人は自殺だったというが、元新興宗教の信者で、店に来た彼らもその仲間だったが今は教団も抜けて自立してそれぞれの社会生活を送っている。

    そんな彼らの現在と過去が語られていくのだけど、久しぶりに集まったぎこちなさや、おおっぴらにはしたくない「神の子」と言われていた過去等が語られてゆく。
    お酒も進んで段々と話も盛り上がってきて、という時に招かれざる客が登場。
    かつての「神の子」のひとりで、未だに教団で活動を続ける彼が入ってくる事で雰囲気が一変する。

    この辺りの空気の変化、作り方が素晴らしかったです。
    恐らく舞台上に流れている時間は実際の上演時間と同じ長さだと思いますけど、その中で亡くなった友人への思いや暗い過去、そして思ったほどはパッとしない現在等が丁寧に表現されています。

    未だに教団で活動を続ける男を演じた古木知彦さんの存在感が圧倒的。
    素直じゃない女を演じた高野ゆらこさんや、結婚して地方で小さな幸せを手に入れた女性を演じる石澤美和さん、そして居酒屋の娘を演じた内田亜希子さん等、「いる、いる」と思わせる自然な人物像で素晴らしかったです。

    最後に明かされる「神の子」と呼ばれた彼らは本当に超能力を持っていて、唯一今でも教団で活動を続ける彼だけがその力をもっていなかったという真実も、リアリティはないけど真に迫るものがあって好きでした。

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    2010/05/06 01:56

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