ヤナギダアキラ最期の日 公演情報 渡辺源四郎商店「ヤナギダアキラ最期の日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    コメディかと思ったほど
    笑いが満載。その笑いの殆どを佐藤優こと工藤貴樹がかっさらっていた。しか~し、しかし、本来の物語の内容は「人魚物語」みたいなさま。

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX


    場面は青森のホスピス。毎回の如く青森弁が心地よい。死を待つ老人・ヤナギダアキラ(87歳)とその面倒を診るアキラの孫・チエのホスピスに突然、暴力団の親分・村岡とその妻・真由美、下っ端の優が台風の如くやって来る。ここでの暴力団一家が実にコメディなのだ。前半は観客を笑わせ割りにゆるりとした空気が流れる。

    後半から物語りは大きなウネリを見せ始める。ヤナギダアキラは戦友の木崎をフィリピンから呼びよせる。木崎に頼みがあるという。訪れた木崎は若い。ここでも木崎の孫が祖父の代わりにアキラに会いに来たという設定だったが、戦時中フィリピンでの体験をもとに過去が暴かれる。物資が届かない現地での戦いの中、生きてるものは何でも食べたという。

    あるシレーナの村でのこと、木崎は不老不死という伝説の人魚の肝を食べた。その人魚は名をペドロといい、既に800年も生きながらえていた。人魚は「自分は死なないが肝臓を取ってお前が喰え。そしたら自分は死ねる。」との言葉を受けてそうしたのだった。その肝の半分をヤナギダアキラに分けたが、アキラはマラリアを患って死にそうだったチエにその肝を食べさせた。それからというもの、木崎とチエは歳をとらずに死なないという。アキラの孫だと思っていたチエはアキラの妻だったという筋。そして木崎もアキラの戦友。

    アキラは自分が死んだ後のチエが心配で木崎にチエを託したかったという。しかしチエはそれを拒絶する。「私は私が死ぬまで貴方の妻です」と。

    木崎は木崎で死なない自分に対して苦悩していた。木崎はラバオでファームを営み結婚し子供も授かった。しかし、妻も子供も歳をとっていくのに、自分だけがいつまでも若々しかった。妻は言う「気持ち悪い、バケモノだ。」
    「俺もそう思う。その後、何度か結婚したがどれも上手くいかねぇ。したって俺、バケモノだ。この先100年経っても、200年経っても500年経っても、一万年経っても十万年経っても、ず~~っと一人で生きていかなきゃなんねぇ。」と真由美の前で愚痴る。そんな木崎の苦悩をここぞとばかり、ふって沸いた幸運のごときと、シメシメみたいな表情をした真由美は木崎を誘うように何処かへ行ってしまう。しかし、戻ってきた真由美の手には新聞紙に包まれた肉の塊があった。どうやら、木崎を殺して彼の肝臓を半分喰らったらしい。

    こうして物語は眠るように亡くなるヤナギダアキラの最後で終わる。本の筋としてはファンタジーホラーのようなさま。限られた命があるから、幸福を感じるのか、それとも限られた命だからこそ不老不死を求めるのか、「火の鳥」みたいな永遠の問題だけれど、人魚の肝は食べてみたいとも思う。

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    2010/05/05 11:59

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