実演鑑賞
満足度★★★★★
何度も上演されている(つまり人気のある)作品だが、初めて見た。なるほど、休憩前の前半から、次々ヤマ場が現れて、「ここで幕にして休憩か」と思うと、そのまま続き、「ここで幕か」と思うと、また続く。ジキル(柿沢勇人)が実験室にこもる「時は来た」や、ついに薬を飲んでハイドに変身シーン、ハイドが娼婦ルーシー(真彩希帆)を襲うシーンと。最後に大司教(宮川浩)を、吊り下げられた樽や、石や、小麦袋(?)でいたぶり、ステッキで刺し殺すところで、本当に幕。見せ場の多いスペクタクルな芝居で、理屈抜きに楽しめた。
音楽もバラエティーがあるし、各人の心情を聞かせるソロが多く、聞かせどころがたっぷりある。群衆のダンスシーンも多い。美術、衣装も豪華。
スチーブンソンの原作からはかなり話を変えている。最初に病院の理事会でジキルの実験申請を、理事たちが寄ってたかってつぶすところから異なる。婚約者のエンマ(Dream Ami)とルーシーという、ジキルをめぐる対照的な二人の女性もミュージカル版の新しいキャラクター。善と悪、人間の多重性、科学者のおごりに加え、愛と友情、復讐と報いなど、テーマもいっそう多面的になっている。