泣き虫なまいき石川啄木 公演情報 ハイリンド「泣き虫なまいき石川啄木」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    絡め取られる個としての存在
    本当に苦しい時、哀しい時にヒトは泣きながらも笑う。

    井上さんの戯曲、苦手なモノもあるけどコレは好きでした。

    ネタバレBOX

    個人的に、啄木と言えば『一握の砂』のイメージからか、
    よく知らないにも関わらず「貧しさ」をすぐに思い浮かべるほど。

    しかし今回の観劇まで、その由について詳細には知らなかった。
    井上さんのことだから史実に基づいたフィクションなのだろう。

    おそらく今回舞台上に立ち現れたエピソード、
    自分の家族、特に母親の愛情という名の執着に振り回され続けたこと。

    加えて、いやだからこそ
    常に生活に追われ、観ているコチラが気の毒になるほど
    芸術家という個の部分を周囲に絡め取られ侵害されつづける啄木。
    すべてがそのせいだとは言えないけれど。

    そうして日々積もっていく啄木の行き場のない怒りや焦燥、
    それでも切り離すことが出来ない情等々・・・。

    ラストのこれでも足りないかとばかりに巡り来る不遇。
    その底に這いつくばる啄木一家の姿。
    苦しくも切ないような感情を抱かずにはいられなかった。

    わずか4人のユニットに客演が2人。
    本当に達者な彼らに心底引き込まれ楽しませて貰った。

    勢いや自分の想いを構築してみせる団体の多い中、
    彼らにはこれからも自分達に合った戯曲、
    組みたい演出家を選んで欲しいと思いました。

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    2010/05/03 03:32

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