果てのない 物語のない 旅にでる 公演情報 精華高校演劇部・芸術総合高校演劇部合同東京公演実行委員会「果てのない 物語のない 旅にでる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    「ファウスト-大阪、ミナミの高校生5-」2023.3.12 17時 風姿花伝
     素舞台、上手に階段を設え登場しない生徒たちが座って待機する。タイトルに入っている5という数字は、ミナミの高校生がシリーズ化されており、今作が5作目であることを表していよう。
    ところで今作を拝見し既発表作品も脚本を読みたくなった。何より最も本質的な問題に真正面から挑んでいるからである。この勇気を高く評価したい。

    ネタバレBOX


     ミナミと関西人が聞けば、その雰囲気は誰でも知っているが少し説明しておこう。自分は最初に入った大学が京都にあったせいで夏休みにミナミでアルバイトをした経験があり、いきなり度肝を抜かれた。キタが東京でいえば銀座辺りの高級イメージだとすれば、ミナミはその真反対、現在の情況は知らないが当時は真昼間からタチンボが道頓堀にもうようよ居た。その姿に驚いたのである。ガキの頃から渋谷、新宿等を中心に遊んでいたからタチンボの存在は当然知っていたが、真昼間から公然と仕事をしていることに驚かされたのである。
     で、この話である。恋バナだ。どんな学校でも若い男女の恋は頗る大切な問題であり、誰しもが経験することでもあるが、実際問題の最たるものは、妊娠ということであろう。自分たちの時代にもスケバングループやグループに入っていなくとも我々、不良と付き合いのあった女生徒からは時々その深刻な話題は伝わってきていたこともあり全くヒトゴトでは済ますことのできない作品として拝見した。恋をして最終的に最も大きなリスクを負う女性が、経済的自立の覚束ない年齢で妊娠をしてしまうという状況で、人間として、女性として、母となる身として、恋する乙女でありながら余りにも若すぎる己の未来へ向けてはリスクしか無いと判断する大人に対し、母の心配も理解しつつウザイと蹴って彼の下へ走りたい純な念は、現代学歴社会に於いては現実社会的には下層へ落ちるしかない中卒乃至高校中退というレッテルに甘んじ乍ら生きてゆくか、悲観して自殺するか或いは心ならずも堕胎するか、最悪大きな悩みを抱えながら隠れて出産し自ら我が子を殺害するか迄を含めて悩まねばならぬ問題を同じ女子高生の助けで最善の方向に持ってゆく内容も実に温かく人間的で心を打った。ゲーテの「ファウスト」が外延として絡んでいる点もグー。

    0

    2023/03/15 22:34

    0

    1

このページのQRコードです。

拡大