実演鑑賞
満足度★★★★
家の中の各エリアが歪つに曲がり(端に向かってせり上がる)、上手奥にDJ然と立って音(掃除機等)を出したりする環ROYのブースがあり、その他は舞台手前の上手下手や奥に向かって開けている。
言葉を聴くと岡田利規の文体なのだが、居心地の悪さが残る。大した事もない事を大したように言っている、と聞こえてしまう時の、アレだ。そこで改めて資料を見ると、演出は岡田氏ではない。そうか・・と思う。
どうにか台詞の座りの悪さを乗り越え、パターンを掴む。「父」役をモロ師岡(メイン)、他に二人が同じ衣裳を着て同じ「父」を演じる。(SPAC「授業」(演出:西悟志)がやっていた最高にシュールな方法。延々と喋ってる役でないのでSPAC程に弾けないが。) 栗原類の役が掃除機だと判るのには時間がかかった(冒頭の喋りで「掃除機の目線」という台詞があり、自分=掃除機と自覚して言っている、とは聞こえなかったのだ)。
「姉」の引きこもりの精神性が、痛々しくかつ逞しく伝わって来るのが本作の肝だ。姉がしばしば舞台上から姿を消すが、「ずっと居る」という演出には出来なかったのか・・何かこの芝居の核になるものが欲しかった気がする。