背伸び王(キング) 公演情報 コマツ企画「背伸び王(キング)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    天使はセラピスト
    男優による70分あまりの4人芝居。コマツ企画はこれが2度目の観劇。前に見たものよりはだんぜん面白かった。

    ネタバレBOX

    小劇場楽園という場所には初めて来た。今はなき渋谷のジャンジャンに似た客席の形。ただ、左右の客席を隔てているのは鋭角的な壁ではなく、太い柱1本なので、ジャンジャンとは違って向こう側の客席の様子もある程度わかる。
    そんないっぷう変わった場内のつくりを利用して、役者2人が出入り口の階段を上がって外へ出て行き、ぐるっと回って舞台奥の扉から現れたりした。舞台から客席側へ降りてくるときには変な効果音がして、舞台と客席の間にまるで結界が張られているようでもあった。

    出だしは薄暗い場所に男がひとり立っていて、床には3人が倒れている。一人が目を覚ましてすでに起きている男と話すうちに残りの二人もやがて目覚める。どうやらそこはあの世とこの世の境目のような場所で、4人は肉体から離脱した霊魂のような存在らしい。

    そのあと男たちは寸劇めいたやりとりで自分たちの身の上やら経歴やら家族やらを明らかにしていく。ここは稽古場でエチュードをやりながら作ったような印象を受けるし、日によってはアドリブめいたこともやっていたのではないだろうか。コマツ企画のメンバー3人に対して、客演の佐野功がやや押され気味に見えたが、それが計算の範囲だったということが終盤になってわかる。

    実はコマツ企画の3人(本井博之、川島潤哉、浦井大輔)が演じているのは天使の役。序盤で本井の私物が入っているとされた鞄には白い小さな天使の羽根が入っていて、仕事を終えた3人が最後にそれをつけるところで終演になる。彼らの仕事というのはつまり、セラピー的な寸劇に佐野を巻き込むことで彼に自省を促し、再びこの世で生きる決意をさせ、彼をそちらへ送り返すことだったのだ。

    天使の人助けというのが話の大枠で、人助けのための具体的なセラピー方法はもちろん脚本もあるのだろうけど、役者がけっこう知恵を出して作ったのではないだろうか。

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    2010/04/25 23:27

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