実演鑑賞
満足度★★★★
なるほど~ 思いの丈をぶつけたといった感じの物語である。女性二人の或る意味 特異な情況を濃密に描いている。物語の面白さは、それをどのように表現するかがカギになる。少しネタバレするが、そこに登場しない同じ名前の女性<2人>を それぞれ1人二役で立ち上げることで、悩み苦しむ今の状況を描き出す。勿論 違う人物を表現するため 細かい仕草<外見含む>や別人としての性格<演技>が求められる。そのため、現に登場しているミヅキ(阿久澤菜々サン)とイツキ(伊藤梢サン)には、或る設定をしている。二人の演技力は確か、その設定によって更に明確な別人が立ち上がり、それによって奇妙な関係が鮮明になる。全体としては「無償の愛」ならぬ「無性に会い」たい といった印象である。
物語は、病院の休憩室で出会った清掃員のイツキと看護助手のミズキの奇妙な会話が 漂流するように展開していく。互いに抱えるジレンマがいつの間にか錯綜し、それによって問題が複雑化したり単純化したりする。その揺れる想い…可笑しみと感傷的という絶妙の心情を織り込んだ珠玉作。
(上演時間1時間10分)