実演鑑賞
満足度★★★★★
ここまでの「見てきた」を見ても殆ど★5。かえって疑わしいところだが、見てみると最近のトラッシュマスターズとしても抜群の出来。昔日の社会派の面目躍如。今までのコメントに加えることはほとんどないが、作劇的には、登場人物の位置を巧みに配置して一方的なプロパガンダ劇にしかった技術的な冴え。客演を要所に配して、台詞がよく聞こえる俳優で内容の肝心なところを押さえたこと。事実を列挙したかに見えるドキュメンタリー的展開、いずれも成功して2時間45分の超尺をダレずに客席も呑まれていた。
以下は芝居の内容とは全く関係ないが、この劇場の運営がこの芝居の内容そっくりだった。この劇場は入り口が裏通りに回ってから夜公演になると全く足下が良くない。下町の道不案内もある。うっかり曲がり角を間違えて二分遅刻。すると、劇場の入り口は鍵をかけて誰もいない。やはり遅れてきた人もいて表も裏も開口部を探すがわからない。やっと裏の出口から出てきた関係者らしい人に、塀越しに事情を話すと、表に回ってくださいの一点張り。そうこうするうちに表に回っていて遅刻組の同士が関係者を見つけてやっと入場できた。入ってみれば、プロローグでタイトルが出るまでに数分あったから、七時ジャストには門を閉めて鍵をかけてしまったんだね。
七時快演と書いてありますから、それに遅れる人は入らなくても良いのが建前です。劇団はそんな客はフォローしません、
といえば、それも正論だが、観客は不特定多数だ。違法入国者ではないわけで、それぞれに理由があって遅刻している。現に遅れてきた客がその後もあって合計5名。普通それくらいは遅刻者がいるのは当たり前で、それをシャットアウトして定刻以後は入り口に係員が一人もいないというのは、いかがかと思う。またこの劇場は周囲が暗く劇場なんかありそうもないところに入り口がある。その上暗い。公園なので、管理規則があって明かりがつけられない野かもしれない。それでは公的施設とではない。
これでよく、入り口をシャットアウトしたこの劇団の人たちが黙っていると、不思議だった。この芝居でも指摘しているが、この国は上も下もどうかしてしまっている。タモリに新しい戦前と言われてうろたえているが、タモリと違って本当に戦前を知っている私は全くそうだと思う。これを取り返すのは大変だよ、お上の言うとおり、マスクを外す外さないなんて言っていると、たちまち防空壕なんか作らされるよ。